動物用の医薬品を製造・販売する、創業72年目の歴史ある企業。
創業者のお孫さんである副社長に、いまの畜産業界のことなどをお聞きしました!
どんな会社か教えてください
動物用の医薬品やサプリメントを製造して販売している会社です。創業が1946年、今年で72年目になります。私の祖父が作った会社で、もともと奈良県出身で薬剤師だった祖父が、戦争時にこの福島県郡山市にある軍隊の病院に勤めに来て、戦争が終わった後に会社を作ったそうです。当時は動物用の専用薬という発想はなかったので、人体薬の会社を作ったのですが、すぐに社名を変えて動物薬に取り組み、はじめは牛が舐めてミネラルを補給するために使う“鉱塩(こうえん)”という塩の塊を作っていたようです。
72年の歴史。創業者・お祖父様の伝説とは?
だいたい戦後の創業者って似たようなタイプが多いと思うのですが、ある意味ワンマン経営。生き残るために会社を作っているから、すごいパワーだし必死なんですね。聞いた話では、作った薬を試験するために、ある畜産試験場の場長さんのところにお願いに行ったんですが、門前払いをくらったらしいんです。何度通ってもダメで、あげくの果てには、場長さんが出張に行かれる日に同じ電車に乗り込んで、場長さんが出張先の旅館で温泉につかっていたら、祖父も入って来て「どうも」って(笑)。最終的には「お前には負けた」と言ってくれて、その後ずっと応援してくれる理解者になってくれたという話があります。関西人だったので、「投げたらあかん(諦めたらダメ)」というのが口癖だったそうです。
現代の畜産の現場とは?
昔ながらの少人数の家族経営の農場もあれば、規模を拡大している農場さんや会社組織になっているところもあります。大きな農場に行くとさまざまに機械化されていて、牛乳でも昔のように手で絞ったりせず、大きな機械に50頭くらいの乳牛を乗せて、回っている間にお乳が搾られるシステムになっていたりもします。見たらびっくりされると思います。それに、最近では女性で働いている方々も多くなりました。日本の畜産現場は、皆さん誇りを持って徹底的にこだわって、頑張っている方々ばかりです。日本人は畜産に限らず、職人気質なんですよね。それは他の国には見られないものだと思います。だから皆さんが普段口にされるものは、ぜひ安心して召し上がってください。
海外の畜産ってどんな感じなのですか?
例えばアメリカは最大の畜産先進国なのですが、やはり規模が大きいですね。酪農の場合、日本だとひとつの農場で牛が3000頭いれば「メガファーム」と言われますが、アメリカでは大きな農場だと2~3万頭くらい飼育されています。中国の酪農もここ20年ほどで急速にニーズが出てきて、アメリカやヨーロッパから有名なプロの経営コンサルタントを雇い入れるなど、先進的な技術の導入に意欲的な企業もあり、畜産全体が非常に大きなビジネスになっています。
どんな時にやりがいを感じますか?
生産現場は生き物を相手にしているので、設備や人件費などのコストの他にも、動物が病気になって生産物の質が落ちてしまったり、量が少なくなるなど、多くの心配事があります。私たちが作っている動物薬は、病気を治したり予防したりするものですが、畜産の生産性を解決するために必要なものと言えます。うちの営業マンがお客様にご提案することで、「お陰で病気が出なくなったよ」とか「最近すごく肉質が良くなった」という声が聞けると、やっていて良かったなと思います。
- 福井副社長にお聞きした
やりたい仕事があること
自分で会社を興す人もいれば、親の世代から受け継ぐ人もいると思うのですが、いずれの場合も、仕事の内容を好きになることが大切だと思います。
世の中の流れをキャッチすること
世の中の流れが速くなっているので、自分で勉強したり、様々な人たちと交流してアンテナを高く持ち、流れをキャッチできるようにしておかないと置いていかれてしまいます。
健康であること
会社全体を管理しないといけないので、大変なこともたくさんあります。だからそれに負けない体力作りやオン/オフの切り替えが大切だと思います。
社長になるために必要な3つのこと
まさみ(高3)
りゅうや(高3)
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