映画『おくりびと』 (’08) の脚本を手掛け、ご当地キャラクターブームを牽引した「くまモン」の生みの親でもある小山薫堂 。その小山が、日本の文化「お風呂」について精神や様式を突き詰める新たな道・「湯道」を完全オリジナル脚本で映画化した『湯道』が現在公開中。
『HERO』『マスカレード』シリーズなどの鈴木雅之が監督を務め、生田斗真、濱田岳、橋本環奈などの豪華キャストが大集結した本作の舞台挨拶が3月3日 (金) にT ・ジョイ京都で行われ、主人公・三浦史朗 (みうらしろう) 役・生田斗真、企画・脚本・小山薫堂 、監督・鈴木雅之が登壇。その模様をお届けします!
STORY
亡き父が遺した実家の銭湯「まるきん温泉」に突然戻ってきた建築家の三浦史朗(生田斗真)。帰省の理由は店を切り盛りする弟の悟朗(濱田岳)に、古びた銭湯を畳んでマンションに建て替えることを伝えるためだった。実家を飛び出し都会で自由気ままに生きる史朗に反発し、冷たい態度をとる悟朗。そんなある日、ボイラー室でボヤ騒ぎが起き、巻き込まれた悟朗が入院することに。銭湯で働いているいづみ(橋本環奈)の助言もあり、史朗は弟の代わりに仕方なく「まるきん温泉」の店主として数日間を過ごす。
いつもと変わらず暖簾をくぐる常連客、夫婦や親子。分け隔てなく一人一人に訪れる笑いと幸せのドラマ。不慣れながらも湯を沸かし、そこで様々な人間模様を目の当たりにした史朗の中で徐々に凝り固まった何かが解されていくのであった……。
京都に育てられた「湯道」
(盛大な拍手に包まれるなか登場した3人)。まずはじめにお三方からご挨拶をお願いします。
生田 ここ京都は「湯道」発祥の地であり、撮影された場所で聖地と言っても過言ではありません。京都の皆さまの心の奥底に届けば良いなと思います。
小山 いろんな人生の連鎖で「湯道」が誕生しました。2012年下鴨茶寮という料亭 (の主人) を引き受けて茶道に触れたことで新しい道を探ろうという閃きがあり、そこから2015年に「湯道」が誕生しました。京都で生まれ、京都に育てられた「湯道」だと思っています。
鈴木監督 京都発祥の映画ということで、ぜひ京都からこの映画を沸かしていただきたいです! よろしくお願います!
「〇〇道」!?
先週より『湯道』が公開されましたが、周りからの反響はいかがでしょうか?
小山 一番多く聞いたのはお風呂に入りたくなったという声です。この映画をきっかけにお風呂っていいなと思ってもらえたら幸せです。そして、全国の温泉や銭湯に携わっている方の勇気になればと思います。
京都での撮影はいかがでしたか?
生田 自分が住んでいる土地を離れて映画のことだけを考える日々で、なおかつ京都は人も良くて、ご飯も美味しくて贅沢な日々でした。
小山 撮影を2回観に行きましたが、セットがすごくてびっくりしました。丸ごと銭湯を作っていて、お湯もちゃんと出ていました!
生田 撮影後に監督と一緒にお風呂に入りました。一緒にお風呂に入ると、昨日よりもその人を好きになれる気がしますし、より深く知れた気持ちになります。お湯の魔力・魅力に出会いました! 映画を通して、北海道に住んでいた時に祖父と一緒に銭湯に行って、帰りにぽかぽかの体を冷ましながら帰った時の記憶を思い出させてくれました。
「湯道」とは「入浴」の様式や精神を突き詰める「道」ですが、日頃からこだわっていることや、突き詰めたい「道」はありますか?
生田 カレーです。地方に行くといつもカレーを探しています。ぐちゃぐちゃに混ぜるカレーが好きです。
小山さん、『湯道』について一言お願いします。
小山 日本人は、お風呂に入るのが当たり前すぎて作法を語るまでもない。しかし、まったく知らない海外の人は、何度のお風呂に入るか、お風呂の掃除は?と聞かれることもある。これを日本の文化として発信することで、日本の魅力も高まりますし、お風呂に入る心地よさや心の豊かを伝えることができると思います。
生田 たまに海外のホテルで、このくらいしかない時ありますよね? でも僕は、なんとかして入ります!