くじら「自分が何者なのかを考え続けた高校時代。進路に悩み、高校3年は狂うほど勉強した」

くじら, 生活を愛せるようになるまで

「ボカロP feat.歌い手」という新たな形を生み出し、yamaやAdoを自らのオリジナル曲でブレイクに導いたクリエイター・“くじら”。DISH//や花譜、にしな、春茶、SixTONES…と楽曲提供のオファーも後を絶たない今大注目のくじらさんがソロアーティストとして本格始動するということで、これまで明かされることのなかった、人となりに迫ります!

実体験から綴る歌詞
自分と同じ思いをしている人たちを
肯定してあげたい

yamaさんの『春を告げる』やSixTONESさんの『フィギュア』など、くじらさんのお名前を知らないまま聴いていた曲がたくさんあることに驚きました。

くじら 嬉しいです。ありがとうございます!

1stアルバム『生活を愛せるようになるまで』の歌詞はどれも共感できるものばかりでした。どれも情景が浮かぶ歌詞ですが、書く時には何か映像が浮かんでいるんですか?

くじら 僕はファンタジーというよりなるべく日常にあったことや実体験を書いているんですが、日本語って文の頭から読んで意味を理解していく言語なので、例えば「この部屋にりんごがあります」だったらまずはじめに「部屋」を想像しますよね。だからなるべく、頭から読んだ時に映像として浮かびやすくなるよう意識しています。

言葉は日頃から意識的に集められていますか?

くじら 歌詞を書くのは好きで、言葉は意識的に集めています。メロディは電車の中で思いついたとしてもボイスメモに残すのは恥ずかしかったりしますよね。でも言葉は思いついた時にすぐメモできるので、友だちと喋っている時でも、きれいな言葉だなと思えばメモしますし、今の言葉は違う文脈に置き換えるとすごく輝く文章になるなと思えば、その場では「ふ〜ん」とか言いながら、こっそりメモしています(笑)

そうなんですね! 本も読まれたりしますか?

くじら 本は大好きです。中高生の時は本当によく図書室にいました。司書さんともお喋りして、「何か新しいの入りましたか?」とか聞いていました。小説もエッセイも好きで、何でも読みます。

今回のアルバム収録曲の中で、特にお気に入りのフレーズはありますか?

くじら うーん…全部好きだなぁ(笑)。でも『水星』の「どうしようもなく死にたくなる夜を わがままなままに甘えたい夜を 隠せない酔いに身が滅ぶ夜を 超えて」というところは特に気に入っています。人間はどうやっても生きてしまうし、陽は昇ってしまうし、夜は超えてしまうものだけど、それでもきちんと生きているあなたは素晴らしいよ、ということが伝えたくて。

今進路に悩んでいるので、ここは私もすごく刺さりました。

くじら 自分は何者なんだろう、こういう人生でいいのだろうか、周りの言う幸せと自分が思う幸せは違うけどそれで大丈夫なのだろうかなど、親や周りの価値観との違いに悩むことって多いと思うんです。でもあなたが一番輝けるエリアが必ずあるはずだから、そこに行っちゃえばいいよ、というメッセージを込めています。

すごく心強いです。

くじら 例えば全く価値観の違う人と話した時に、もちろん受け入れられたら素晴らしいけど、自分の価値観を否定したり、傷つけてくる人だったら、生まれた星が違うんじゃないかくらいの印象を受けることもあると思うんです。タイトルの『水星』は、そういう意味も込めて付けました。

昨日まさに「この人合わないな」と思ったことがありました(笑)

くじら そういう感覚は大事で正しいよ、という曲です。

アルバムの中で高校生におすすめしたい曲はありますか?

くじら 『悪者』や『生活を愛せるようになるまで』ですね。自分は高校生の時、進路について悩みに悩みました。将来に対する考え方も人生の捉え方も周りと大きく違っていて。だからもし、両親や周りの人から一般的な生き方のルートを外れることを否定的に言われたり、自分でも大丈夫なのかなと不安がある人がいれば、それはその人たちの意見であって、あなたの人生は自分で大切にしていいんだよと肯定してあげたいと思っています。



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