結成15周年・デビュー10周年のアニバーサリーイヤーを迎えたTHE BAWDIES。Vo.B ROYさんにchスタッフがインタビュー!日本武道館公演を記念したシングル『HAPPY RAYS』に関することから、ROYさんのルーツとなった音楽の話、高校生への熱いメッセージまでたっぷりお届けします!
『HAPPY RAYS』の日本武道館公演記念パッケージは、The Beatlesの来日シーンをオマージュしていますね。
ROY 日本武道館は1966年にThe Beatlesが初めて日本で生のロックを鳴り響かせたステージであり、日本のロックの歴史が始まった聖地なんですよね。日本でロックを根付かせたいと考えている僕たちにとって、そんな日本武道館でライブができる喜びを表現するために、The Beatlesが来日したときに着ていたような法被(はっぴ)と『HAPPY RAYS』の”ハッピー”をかけて、The Beatles来日時と同じような写真を撮ることにしました!
なるほど!ステキですね。
ROY ちなみに通常盤のジャケットでは、「HAPPY RAYS」が幸せの光線という意味なので、黄色をメインとしつつ虹色の雨を彷彿とさせるような優しく温かみのあるデザインに仕上がっています。
レコード盤も発売されるとか。
ROY 今はクリック1つで音楽が手に入るから、たくさんの音楽に触れることができて素敵ですよね。実は、僕はレコードのシングル盤を数多く集めています。The Beatlesを始めとするルーツミュージックのアーティストの楽曲の中にはCDへの音源化されていなくてレコードでしか聞けない楽曲もあります。しかも、当時レコードでアルバムを出せた人はほんの一握りしかいなかったので、アルバムだけを聞いてしまうと出会えないアーティストも多い。「この1曲で売れたい!」という思いが強すぎて、素晴らしい音楽でもなかなか売れなかったシングルを掘り起こしていくことは、まるで宝物を見つけるようで楽しいです!きっと一生かかっても聞ききれないので、一生退屈しない喜びを手に入れているってラッキーなことだと思っています。苦労して見つけた宝物のような音楽やレコードは愛着の湧き方が全く違いますね。現代はクリック1つで音楽を消すこともできますが、僕たちは音楽を届ける側の人間でもあるので、1曲を大切にしてほしいという願いや、音楽を手に入れた時の喜びも含めて、聞いてくれる皆さんに僕たちの音楽を愛してほしいと思ったので、今回はレコード盤も発売することにしました。
『HAPPY RAYS』の歌い方は今までのROYさんよりも優しい印象を受けました。
ROY 僕の歌い方ってクセが強いので、熱量を伝える時は伝えやすいんですけど、みんなにリラックスしてもらう時にはうるさいんですよね(笑)。今まではドーンと発信する歌い方しかできなかったんですけど、『LEMONADE』(2013)から自分の歌い方の幅が広がって、ミドルテンポに合った、メロディーを邪魔しない歌い方を意識するようになりました。『HAPPY RAYS』はメロディーに寄り添うような歌い方として、僕の中で1つの完成形になったと実感しています。
ロックにストリングス(弦楽器および弦楽器を主体とした演奏)が入っていることも今までにない新しさを感じました。
ROY 実は、この楽曲は6th Album『NEW』(2017)を出した時にはもう出来ていたのですが、素敵なメロディーに仕上がったので、アルバムの1曲にするのではなく、ここぞの時にとっておこうと思ってじっくり温めておいたんです。その制作段階から自分の頭の中ではストリングスが鳴っていました。でも自分でストリングスを表現することは難しいので、今回はプロデューサーを立てました。今までは同じ日本のロックシーンで活躍する方にプロデュースをお願いすることが多かったんですけど、今回は『HAPPY RAYS』がJ-POPとしてより多くの人に届くように、J-POPの中心で活躍する本間昭光さんにプロデュースをお願いしました。そして、本間さんがTHE BAWDIESのバンドサウンドをベースにストリングスをフィーチャーしすぎない程度にスパイスとして組んでくれました。これこそまさに僕が『HAPPY RAYS』を制作した時に頭の中で鳴っていたサウンドでした。
曲調はThe Beatlesの『Here comes the sun』の面影を感じました。
ROY 僕が曲作りで意識していることとして、まずは初めてロックンロールを聞く人にとってそれがポップスとして届くものを目指すこと。さらに、元々ロックンロールが好きで、分かる人には分かるようなちょっとした隠し味を楽曲に入れることが好きなんです(笑)。他にも『HAPPY RAYS』には裏テーマがあって。よく晴れた朝に、The Whoの『Kids Are Alright』を聞いていたら書きたくなった曲なんです。裏ストーリーとしては、THE BAWDIESという熱した鉄板の上に、The Whoの『Kids Are Alright』という生肉を乗せて、エルヴィス・コステロ(イングランドのミュージシャン)というスパイスをかけてじっくり焼き上げたというイメージで『HAPPY RAYS』を制作しました。だから、The Whoの『Kids Are Alright』やエルヴィス・コステロの楽曲を聞いてから『HAPPY RAYS』を聞くとまた新しい楽しみ方が生まれると思います。
MVではエンドロールに2曲目の『SHE CAN ROCK』が使われていますね。
ROY カップリングは2曲入っているのですが、先にシングルに入れることが決まったのは3曲目の『THINK』でした。この曲は昨年亡くなってしまったソウル界の女王アレサ・フランクリンのカバーで、彼女への追悼やリスペクトの意味を込めてどうしても入れたかった。かなり濃い曲に仕上がったので、これではマイルドな『HAPPY RAYS』との食べ合わせが悪い、聞いている人がお腹を壊すと思って(笑)、この2曲をつなぐものとして急遽『SHE CAN ROCK』を書きました。また、MVは映画監督の草野翔吾監督が撮ってくださいました。今まで『NO WAY』なども手がけてくれた監督で、今回の『HAPPY RAYS』でも映画のような結婚式の世界観を表現しています。監督がMVにエンドロールとして『SHE CAN ROCK』を使いたいと提案してくれて、全体として非常にオシャレなものに仕上がっていて、まさに監督の技だなと思いました。
ちなみに『SHE CAN ROCK』というタイトルはどういう意味ですか?
ROY SHEには皆さんがそれぞれ自分ことを燃え上がらせてくれる人を思い浮かべてほしいです。僕らの場合は、3曲目の『THINK』のアレサ・フランクリンのことを想って歌っています。
『THINK』をTHE BAWDIESさんがカバーしたことでアレサ・フランクリンも喜んでいらっしゃると思います!
ROY アレサ・フランクリンは世界的にソウルの女王と言われている方なので、僕たちがカバーするなんて本当におこがましいことなんです。そもそも彼女の楽曲に挑戦すること自体が難しい。だから彼女と同じソウルというジャンルで表現するよりもTHE BAWDIESらしいロックスタイルでカバーすることにしました。僕たちのスタイルの原点にはThe Sonicsという60年代のアメリカを代表するバンドがあって、彼らの楽曲はワイルドで荒々しくてカッコいいんですよ。その方法で『THINK』を料理することがTHE BAWDIESらしいと考えて、思い切ったアレンジをしてみました。アレサ・フランクリンも天国で聞いてくれたら「何やっているのよ(笑)」って笑ってくれるんじゃないかな(笑)。
だから『THINK』にシャウトが入っているんですね!
ROY 僕らのスタイルのベースとなっているThe Sonicsは全部叫んでいるんじゃないかっていうくらい、とにかくずっとシャウトして歌っています。最初は僕も彼らの真似をしていろんな楽曲にシャウトを取り入れてみようと思ったんですけど、なかなか上手くいかなくて。でもThe Sonicsにもさらにルーツがあることを学びました。彼らはブラックミュージックのソウルブルースやリズム&ブルースのスタイルを吸収して、シャウトを取り入れていました。だから僕らがThe Sonicsを真似するだけではThe Sonicsには近づけない。The Sonicsに憧れているなら、同じスタートラインに立つために、彼らが聞いてきた音楽であるブラックミュージックも聞かなくてはと。そこからさらにブラックミュージックには黒人のゴスペルというルーツがあることも分かりました。黒人のゴスペルシンガーは気絶するほどシャウトしているんですよ。そうやってどんどんルーツを遡って学んでいったことで自分らしいシャウトにたどり着きました。
THE BAWDIESのベースにはThe BeatlesやThe Sonicsを始めとする様々なバンドが存在するのですね。
ROY 僕たちはスーツを着て60年代のロックを発信していますが、様々なバンドやシンガーを愛しています。イギリスのビートバンドは、アメリカのブラックミュージックの影響を受けて生まれました。僕らもイギリスの若者と同じように、アメリカのリズム&ブルースやロックンロールが好きでそれを自分たちなりに真似して演奏しているので、その解釈がイギリスのビートバンドに似ていると言われます。僕たちは60年代の音楽や文化が好きなので、The Beatlesの象徴的で分かりやすいタイトなスーツやマッシュヘアーを意識して取り入れています。The Beatlesにはアメリカのリズム&ブルースなどといった渋い音楽をポピュラーミュージックにしたという功績があります。僕たちも日本でロックをポップスにしたいという夢と目標を持っています!
だから歌詞がすべて英語なんですか?
ROY 曲に合わせてフレーズを当てはめていくので、英語や日本語にこだわりはないです。ただ、僕はロックに対してあまり歌詞に捕らわれてほしくないと思っていて。例えば、60年代のロックのベースとなったブラックミュージックはすさまじい差別の中でも前向きに進んでいこうというエネルギーが音楽につまっています。歌詞を先に見るよりも、みんなの背中をどーんと押すような音楽のパワーを、”頭で考えずに体で感じる喜び”を体感してほしいです。だから日本で歌うなら英語で書いた方が、歌詞の意味よりも音楽のパワーが体に直接届きやすいのではないかと。勝手に体が動き出すように、僕たちのロックを楽しんでもらえたら嬉しいです。
どうしたらROYさんみたいに英語が上手くなりますか…?
ROY 母がアメリカに住んでいたということもあって、小さい頃に母から英語やアメリカの音楽をたくさん聞かせてもらっていました。僕も英語の勉強は苦手でしたが、英語が自分の好きな音楽と結びついた時に、自然と英語が身についていきました。だから、英語を学んだ先の自分、高校生の皆さんなら例えば留学して輝いている自分をイメージすると、英語を学ぶことが楽しみに変わってグンと上達すると思います!
今までのROYさんの音楽に対する熱い思いと最高に面白いライブでのMCとのギャップに驚いています(笑)。
ROY 僕たちのライブにはみんなで汗かきながら前に進もうというメッセージが込められています。「THE BAWDIESと一緒にいると楽しいね!元気になる!」と思ってもらえるようなライブにしたいと心がけています。お客さんと会話しながら皆さんとの心の距離を近くして、それから僕たちが伝えたい音楽を届ける方がより音楽を楽しんでいただけると思うんですね。だから僕らがカッコよく構えていたらお客さんの心は開いてもらえないと思うので、ステージに立つ僕ら自身が心のパンティーを引きちぎる「ココパン先生」でいることを常に意識しています(笑)。
高校生の頃はどんな音楽に触れていましたか?
ROY 高校時代、メンバー全員バスケ部だったんですけど、引退してからたまたま立ち寄ったCDショップでThe Sonicsの楽曲を聞きました。最初は60年代の音楽だと気づかなくて、カッコよくて新しい!と思ったんです。でも実際は40年以上前の楽曲でした。今は音の厚みや迫力は電子機器を使えばいくらでも出せると思うんですけど、60年代は自分たちで作り出す必要があったので、表現に対する振り切れ方が現代と60年代では全く違うんですよね。The Sonicsに出会った瞬間、僕の生き方が全て変わりました。はみ出した時に初めて人間らしさが出てくることに気づいて、人と違っても自分の言葉を発信したいと思うようになりました。
最後に高校生の読者にメッセージをお願いします!
ROY 興味をもったものに片っ端から全部取り組んでみてください。楽しいと思っているうちは、それが本当に自分のやりたいことなのか分からない状態だと思います。嫌な面が見えたり、苦しいことにぶつかった時、それでも好きだと思えて、その壁を乗り越えたいと思うなら、それは人生をかけるような自分の夢になる可能性があります。成功しても失敗しても動いた分だけ必ず何か結果が生まれてきます。高校生の皆さん、「迷うな!進め!まっすぐと!」
小学校からの同級生のROY、JIM、MARCYと高校からの同級生、TAXMANによって2004年1月1日に結成。唯一無二の圧倒的なボーカルを武器に、メンバーが敬愛するリトル・リチャード/レイ・チャールズに代表されるリズム&ブルース/ロックンロールのルーツを昇華した楽曲、誰もを楽しませてくれるライブが各地で噂を呼ぶ。5年ぶりとなる全国47都道府県ツアー「Thank you for our Rock and Roll Tour 2004-2019」のツアーファイナルとなる2019年1月17日の日本武道館公演を大成功に収めた、勢い止まらない「世界基準」の最新型ロックンロールバンドである。
DISC INFO
12th Single『HAPPY RAYS』 通常盤 日本武道館公演記念パッケージ ¥3672+tax 通常盤 ¥1200+tax 7インチ・アナログ盤 ¥1400+tax now on sale |
LIVE INFO
6月23日(日)@名古屋ダイアモンドホール