SCANDAL|学生時代から15年間この4人で走り続けてきた「愛のカタチ」とは?

昨年結成15周年を迎えて、1月26日に記念すべき10作目のアルバム『MIRROR』をリリースするSCANDAL。ガールズバンドとして第一線で活躍し続けるMAMIさんとHARUNAさんに、コロナ禍で完成させたアルバムへの思いやツアーへの意気込み、高校時代の自分へのメッセージなどたっぷりお聞きしました!

今の自分たちを包み隠さず
そのまま映した『MIRROR』

結成15周年、10作目のアルバムリリースと大きな節目が重なっていますが、アルバムを完成させた今、どんなお気持ちですか?

HARUNA 完成できてよかったなと思います。コロナ禍でライブができなくなって、10年以上走り続けてきたことがストップしてしまう不安や戸惑いを感じていました。でも、ちゃんと音楽と向き合って1つのアルバムを完成させたことは、またSCANDALとして今後も活動を続けられる自信につながりましたね。

アルバムタイトルやテーマはどのように決まったのですか?

MAMI もともと「『MIRROR』というタイトルをつけて、こういうアルバムにしよう」と決めていなかったんです。今まで、ライブやお客さんに向けて一緒に盛り上がって楽しめる曲を作ろうと思っていたけど、コロナ禍でどこに向けて曲を作ったらいいか分からない中、ようやく生み出せたのが『eternal』でした。そこからのビジョンも全く無い中、苦しんでもがいて、一つひとつ音楽を吐き出していきました。制作時に自分自身と向き合ったことで、受け入れたものも跳ね返したものもあったので、「『MIRROR』というタイトルがいいんじゃない?」と最後の最後に決まったんです。

HARUNA 諦めなくてよかったよね。

MAMI もちろん楽しいことや先の希望をもった曲作りもしてきたけど、今回は自分たちの苦しみを隠さず、そのまま鏡のように写したようなアルバムができました。

表題曲『MIRROR』ができるまでの経緯も気になります。

MAMI 出来上がった10曲を並べて、表題曲を『MIRROR』にしようと決めたわけではなく、アルバムタイトルが決まってから作った楽曲でした。それ以外の9曲でも「今のSCANDALとして堂々と出せるアルバムだよね」という気持ちはあったんです。でも、もう一段階ギアを入れて、自分たちを鼓舞する楽曲があった方がいいかもしれないと思って作ったのが『MIRROR』でした。本当に最後の最後に生まれた楽曲です。

アルバムの中でおふたりのお気に入りの楽曲は?

MAMI 私は『プリズム』ですね。ベースのTOMOMIが作曲していて、自分にはないメロディーなど新しい発見がありました。あと、今までだったら、HARUNAの声もちょっと力強くてクールな印象の曲が多かったんですけど、今回はアルバムを通して等身大でやわらかい声がいいなと思っています。その中でも『プリズム』は、HARUNAの声にめちゃくちゃ似合っているんですよ! 15年前、SCANDALが制服で活動していたときの印象のままで止まっている人たちの“時”を動かせるんじゃないかと思っていて、私は1番好きです。

HARUNA 私は『one more time』かな? 今年はアルバムの前にシングルを3曲(『eternal』『アイボリー』『one more time』)リリースしました。『eternal』と『アイボリー』を制作した時期は、ミュージシャンとして世の中に楽しいムードを届けることが正解なのかまだ分からなくて、今まで普通だったことがこのご時世でみんなはどう感じるんだろうと、すごく気を遣っていました。でも、昨年の春頃から少しずつ有観客でライブができるようになって、「ライブって楽しいな、幸せだな」と改めて感じることが増えてきて。音楽に救われる瞬間を自分でも感じたからこそ、1人のミュージシャンとして音楽で人を救いたいと思い、その気持ちが『one more time』を作ってより強くなりました。『アイボリー』をリリースした時から少し前進して、気持ちよく演奏できましたね。

『愛にならなかったのさ』は胸が苦しくなりました…!

MAMI 『愛にならなかったのさ』は『アイボリー』と同時期にメロディができあがった楽曲です。『アイボリー』は恋愛に限定せず大きな視点で書いていた曲だったので、『愛にならなかったのさ』は恋愛にぎゅっと的を絞って、「別れるの?別れないの?」といった曖昧な感情を表現しました。友だちの経験談を聞いたり、自分が付き合っていた人と別れたときを思い出したりしながら書いていったら、めーっちゃすらすら書けました(笑)

MAMIさんは、実際にどうなったら、恋が“愛にならなかった”と感じますか?

MAMI えーなんだろう? 自分が恋愛している上で1番辛いことはなんだろうと考えたときに「無関心」だと思ったんですよね。『愛にならなかったのさ』の歌詞でもあるように、お付き合いして一緒に住んでいるふたりがいて、連絡したら絶対返してくれるし、すごくまめだし、お仕事に行っても絶対帰ってくるし、そういう信頼感や安心感はもちろん嬉しい。だけど、帰ってきてぎゅっとしてくれるとか、頭を撫でてくれるとか、一緒にずっといてくれるとか、そういった相手への関心が無くなったらもう愛情とは違う情なのかも。

『夕暮れ、溶ける』はどのように生まれた楽曲なのでしょうか?

HARUNA すごく綺麗な夕日を見ながら外を歩いているときに、「夕暮れ、溶ける」という言葉が頭にポンと思い浮かんだんです。普通は“夕暮れが溶ける”という表現はしないですよね。でも、なんかいい言葉だなと思って。理由はうまく説明できなくても、「なんかいい」と思うことって、意外とよくあると思うんです。物事や気持ちを言葉でしっかりと説明できる方が良いとされることも多いけど、直感を信じて動いた方が良い方向に転がっていくこともある。変わった言葉が思い浮かんだ自分を肯定しよう、と思って制作を進めた曲です。

ライブはミュージシャンとしての
存在意義を感じさせてくれる

いよいよ全国ツアーとワールドツアーも始まりますが、日本と海外の違いはどこですか?

HARUNA ワールドツアーではMCで簡単な挨拶などを現地の言葉で話すことが多いですね。あと、お客さんの反応の違いがめちゃくちゃ面白いんですよ! 日本では、手を挙げたり振ったりするタイミングが綺麗に揃っていて、お客さん同士がお互いを意識しながら合わせようとする気持ちが日本の心だなぁと思います。でも海外では、そんなことお構いなしに、自分が感じたように動くの(笑)。手を挙げる方向が上か横かバラバラなんだけど、そのあべこべ感が楽しくてエネルギッシュに見えるんですよね。

MAMI バンドの演奏でバンドのライブをしているはずなのに、クラブみたいに「この曲でこうやってノるんだ!?うちらの中ではテンポ遅めなんだけど!?」と思う曲で爆上がりしているんですよ(笑)。リアルな反応を見ていると、私たちも気持ちよくて、「音楽ってこうだよな!」と実感します。

ツアーへの意気込みもお聞かせください!

HARUNA 「幸せな時間がまたいっぱいあるんだな」と、生きる楽しみがあります。バンド活動している以上、直接ファンの方と顔を合わせて意思疎通できるような、お互いがお互いを必要としているような空間って、自分の存在意義を感じるんですよね。ミュージシャンでいていいんだなって思わせてくれる時間なので、今年はライブがいっぱいあることがとても嬉しいです。

結成から15年。
MAMIさん、HARUNAさんがお互いに思う
“大人になったところ”って?

SCANDALさんの、メンバー全員がそれぞれ作詞作曲をされているスタイルは新鮮に感じます。

MAMI 協力しないとできないバンドなの(笑)。全員もともとダンス&ボーカルスクール出身で、歌えることも大きい理由ですけど、みんなそれぞれ好きなものがあるので、個性を1つにまとめられないんですよね。本当に作りたい時に曲を生み出して、それが積み重なってアルバムが成り立っています。メンバー全員が作詞作曲しようと決めたわけでもなく、ひとりで作ろうと思ったこともなく、自然な流れで今のスタイルになっています。最近は私が制作することも多いですけど、ひとりじゃ無理!って思うんですよ。言いたいことなんてないよ!と思う時ももちろんあります。そういうときに、メンバーがいて、1つにまとまることができない自分たちで良かったと思いますね。

HARUNA みんなそれぞれ作ってきた曲が全然違って、自分にはないアイデアをいっぱいくれるんですよね。ひとりだったら思い付かないような新しい感情に出会うことで、自分もまた大きくなれる気がします。たくさん刺激を与えてくれる存在がいてくれて嬉しいです。

中高生の時からバンドを組まれている皆さんですが、もし今、当時の自分に会えるとしたらどんな言葉をかけたいですか?

HARUNA 「英語はちゃんとやっておいた方がいい」かな。大人になるとどうしても楽して覚えようとしたり、覚え方を考えたりするから、先生が言った通りに覚えていればもっと役立ったことがあるかもしれないと思いますね。海外でライブをするから、10代のうちに英語を身につけておいた方がよかったなぁ。

MAMI 割と好き勝手に生きていたから「そのままでいい」って言うかも。バンド活動も、友だちと遊んだ思い出も充実していましたね。勉強と両立できていたかと聞かれると難しいけど(笑)。青春という意味では、バンドマンの自分と学生の自分を両立させていたと思います。

15年という時の流れの中で、MAMIさん、HARUNAさんがお互いに思う、大人になったなぁと感じる部分はどこですか?

MAMI HARUNAはめちゃくちゃ母性が出てきた。

HARUNA そうなの(笑)?

MAMI 結成当時、同じスクールに通っていたけど、あまり話したことがなくて。その時はクールでサバサバしているイメージが強かったんです。でも15年間いろんな会話をする中で、本当に自分たちでも「今が1番仲が良い」と言えるくらい仲が良くなって、HARUNAは思いやりがあって優しくて、本当はめちゃくちゃキュートな人なんだと感じるようになりました。

HARUNA (MAMIは)団体行動ができるようになったよね(笑)

MAMI 本当ですか!?ありがとうございます。

HARUNA 1人が好きで、ものすごく気分屋なんですよね。昔は、前日に「明日〇〇に行こう」と言っていても、次の日になると気が変わっていたり、「数分前にあれ食べたいって言ってたけど、今は違うものを食べてるよね?」ということもあったりしました。さっきも(MAMIが)「ドーナツを食べたい」と言ってドーナツ屋を探して、私たちがドーナツを食べたい気分になっちゃっているのに、実際にドーナツ屋に行ったらコーヒーだけ頼んでいたりね。

MAMI どうしたんだろうね(笑)

HARUNA こういうことが多くて、もう慣れているから何も思わないんだけど、最近は人と一緒に生活することがそんなに苦じゃないんだろうなって。

MAMI ようやくみんなと好きなものが一致してきたのかな。

HARUNA それはあるかもね。

MAMI 食べることが自分の中でそこまで重要ではなかったけど、今は食が好きになったことも大きいかもしれないなぁ。今度サムギョプサルを食べに行こうね。

HARUNA うん、サムギョプサルを食べに行こう(笑)

今月の特集「愛のカタチを教えてください!」愛とは…に続く一文を作成してください!

MAMI

愛とは関心!

MAMI 恋愛に限らず、家族でも友だちでも、メンバーでも仕事仲間でも興味を持つこと、寄り添って他の人が興味を持つものを自分も好きになりたいって思うことが大事だと思います。私はHARUNAのおかげでK-POPが大好きになって、毎日HARUNAに連絡しています(笑)。関心や興味など相手に向ける気持ちが愛かなと思います。

HARUNA

愛とは嫌なところにも目を瞑れること!

HARUNA 自分とは違うと感じることの方が多いけど、人の数だけ個性があってそれを否定しないことが愛かな。「それは違うんじゃない?」って言いたくなっても、感じ方は人それぞれで、その人にとってはそれが正解と思える心が大切だと思います。

グループの「愛のカタチ」を守るために意識していることはなんですか?

MAMI お互い、そんなに干渉しないことかも。「これ以上話を聞かないで」とか「もっとこれ好きになって」とかあんまりないよね。休みの日もお互い自由なんですよね。行くところが被っているときは連絡しても、グイグイ干渉することはないかな。事前に決めたわけでもなくて、絶妙なバランスで成り立っています。暗黙のルールとまではいかないけど、4人でいるときは絶対無理していないから、無意識にできているんですよね。

HARUNA 喧嘩したくないんですよ。だからこそ認め合うんだと思います。「私はこう思うんだよね」と言い始めたら平行線になるから、「なるほどそういう意見なんだね」と受け入れる心をみんなもっている。自分とは違う意見だなって思っても、それを強く言わないことがグループの愛のカタチかもしれないね。

最後に、高校生へメッセージをお願いします!

MAMI このインタビューで初めてSCANDALに触れた皆さんに、『MIRROR』から私たちを知ってもらえることがとても嬉しいです。少しでも興味があって聴いてもらえたら、赤裸々な意見を言って欲しいなと思います。今の音楽を好きな高校生がSCANDALを聴いてどう思うんだろう? 自分たちはCDをコンポに入れたりポータブルプレイヤーに入れたりして音楽を聴いていた世代です。みんなはスマホからすぐに音楽が聴けてジャンルもデバイスも変わっているから、その上でSCANDALの音楽がどのように聴こえるか気になるので、ぜひ聴いて欲しいですね。

HARUNA 高校生の時って、やりたいことが決まっている人も決まっていない人もいますよね。本当にやりたいことがある人はそのまま突き進めばいいと思います。自分はこれがやりたいと思っているけど、親や周りの人がどう思うかなと不安になっても、絶対自分の気持ちに正直でいた方がいいです。結局自分で決めたことは自分で責任をとれるから。でも、人に言われて辞めてしまうと、絶対に後悔するのは自分です。やりたいことが決まっている人は突き進む、決まっていない人は何かに関心を持つことだけは大切にして欲しいなと思います。

読者プレゼント

SCANDAL

2006年大阪・京橋で結成。2008年「DOLL」でメジャーデビュー。翌年には「少女S」でレコード大賞新人賞を受賞。国内外問わずに多くのフォロワーを持ち、世界中でコンサートを行っている。近年ではファッションアイコンとしても注目を集め、自身のアパレルブランド“Feedback!”をプロデュース。2019年にはプライベートレーベル”her”を設立するなど、名実ともに日本を代表するガールズバンド。

DISC INFO

1/26 on sale
10th Album
『MIRROR』
3300円(tax in)

LIVE INFO

SCANDAL WORLD TOUR 2022 “MIRROR”
3/12(土) 神奈川・厚木市文化会館・大ホール
3/21(月・祝) 兵庫・神戸国際会館 こくさいホール
3/26(土) 宮城県・トークネットホール仙台・大ホール (仙台市民会館)
4/9(土) 福岡・福岡市民会館
4/10(日) 広島県・上野学園ホール
4/17(日) 北海道・カナモトホール (札幌市民ホール)
4/29(金・祝) 石川県・金沢市文化ホール
4/30(土) 愛知・愛知芸術劇場
6/7(火) 大阪・フェスティバルホール
6/10(金)・6/11(土) 東京・中野サンプラザ