今年2月に結成4年目にして東京進出を発表した、ユニークなコンビ名の『ぺ』さん。お互いの強みを認め合うカクさんとカタヤマヨシオさんが、東京進出へのお気持ち、また高校生へのアドバイスなどたっぷりお話しくださいました!
真逆のふたり
まず、他己紹介をお願いしたいです。
ヨシオ おーなるほど! カクは兵庫県加古川市で生まれ育ち。とても繊細で、プレッシャーがかかるとすぐ扁桃炎を腫らして熱が出たりしてちょっと子どもみたいなピュアさがあり、抱きしめたくなるようなあどけなさがあります。
カク ヨシオは、まずコメディスターを目指せるような顔が特徴的で、チャップリンのように動きで周りを笑かす人間です。何も頑張らない、何も努力をしない、操り人形のような男でございます。彼は僕と真逆で、プレッシャーに強く、繊細じゃないので本番に強い男でございます。また、コンビを組んでから風邪や熱など一度も出したことはありません。
カクさんはプレッシャーに強いヨシオさんに助けられたことはありますか?
カク 僕は人付き合いというか、先輩やテレビで観ていた人に会うとやっぱ緊張してしまうんですけど、彼は今田耕司さんと一緒にライブした時も全く緊張せずでした。さんまさんとかだいぶ上の人にも緊張しないので、そういうところは助けられてますね。
ヨシオ 今田さんが僕のお父さんに雰囲気が似てらっしゃっるので、お父さんと喋ってるような感覚で喋ってました。もちろんトーク力とかすごいのはわかるんすけど。僕はテレビを観てではなく、お会いしてスゴいなって思ってから緊張し始めたりすることが多いですね。
逆にヨシオさんがカクさんに助けられたことは?
カク 助けられてばっかりじゃないですかね(笑)
ヨシオ まずコンビ組もうって時に、僕とカクがお互いにネタを書いて、初めてネタ合わせしたんですが、僕のネタがほんとにクソおもんなくて。東京から大阪にわざわざ来たのにネタ書けないってちょっと不安やったんすけど、コイツすごいネタ書けるじゃんって。それに上手いこと乗っかれたというか(笑)
カク で、その時「もうネタ書かんでいいよ」って言ったら、「楽になったわ~」って。
ヨシオ いや、ほんまは“ネタ書き”っていうカッコいい肩書が欲しかったんですけど。
カクさんはネタを書きたかったんですか?
カク 書きたかったというより、NSCに入って芸人をしようって思ってるのにネタを書きたくないっていう人がいるんだってことにびっくりはありましたね。僕はネタ書いて売れたろうって思って入ったんで。
ヨシオ でもこんなすぐ諦める人は少ないよ。みんなけっこう粘ったりするんですよ。
カク 確かに。プライドがすごかったりしたらお互いぶつかり合ったんですけど、彼は全てを受け入れてここまで来てますんで。
今までで一番大きいケンカをお聞きしたいです。
カク ケンカは一回しかないです。
ヨシオ そんなんあったっけ?
カク コロナ禍にNSCの卒業公演で4分のネタをさせてもらう機会がありまして。ところが、ヨシオがマスクを付けたまま舞台に出て来たんです。ただコントなんで、お母さんの役のまま「マスク取るわ~」とか言って取ればいいんですけど、彼はヨシオとして「すいません、マスク取り忘れてました」って変な噛み方しながら安い笑いを取りに行ったんで、そこから4分間スベり続けました。終わってから「何してんねん!」ってキレたら、一発目に「今言っても仕方ないやん、舞台は終わったからね」って来たんで、僕殴りました。でも体が硬すぎて腕骨折しましたけど。
ヨシオ 嘘やろ、僕そんな体鍛えてないで~(一同笑)
「かかってこい東京!」
おふたりは元々お笑いの道ではないところからお笑いに入られましたが、なぜそんな大きな決断が出来たんでしょうか?
カク フランス料理の専門学校に行ってて、特待生に選ばれてフランス留学するタイミングでコロナになって留学できなくなっちゃったんです。それで、めっちゃ暇になって考えてたら、料理は仕事じゃないな、趣味だなって思って来ちゃって。一生の仕事としてやれる仕事ってなんやろってなった時に、お笑いが出て来ました。
なんでお笑いが出て来たんですか?
カク 高校の時にお笑いの授業があって。
えー!
カク 僕の高校、吉本と提携していて。毎週水曜日の6限目に漫才やギャグを作る授業があって。10組中3組は文化祭で漫才できますみたいなバトルで2位になってガチで悔しい思いをするでんすけど。それを思い出したって感じです。
身近にお笑いがあったんですね。
カク はい、お母さんも大阪まで僕たちの全公演観に来てます。お笑い好き家族っていうのもデカくて、「NSC行きます」って言ったら、ケーキとくす玉が出てきて「おめでとう!」って祝福でした。
ヨシオさんはいかがですか?
ヨシオ 大学生の時、高校生に言う話じゃないかもしれないですが、バイトでキャバクラのボーイをしていて。お客さんに延長してもらったりけっこう営業取るのが上手かったんですよ。それって30歳になっても40歳になっても衰える力じゃないから食いぶちがあるイメージで。一応就活して就職先も決まってたんですが、若くないと出来ない、今一番好きなことをやってみようと思ったのがお笑いやったんですね。高校生の時は、「芸人になるのって人生捨ててるやん」とか思ってたんですけど、思ったより捨ててなくて、そんな大きな決断じゃなかったというか。
ところで、東京進出を発表された、今のお気持ちをお聞きしたいです。
ヨシオ 東京で大学4年間生活してるんで、最初は東京行くのが楽しみでワクワクが強かったですかね。だって僕、大阪は何も関係ないので、離れることに寂しい思いがほぼなくて。ただ友だちや先輩後輩、めっちゃお世話になった大人の方もいっぱいいるんで、やっと最近「あ、この人と話すのもう最後かもな」とか思いながらちょっと寂しくなって来ました。
カク 僕は兵庫から大阪に出て来ただけなんで、「東京緊張するー」って感じなんですが、最近ね、ヨシオは東京マウントがすごいんですよ。大学4年行ってるだけでそんなん?
ヨシオ 4年間ってだいぶよ。それこそカクはめっちゃお母さんっ子で、もう簡単に会えへんくなるわけやん? 俺、大丈夫かなって思うよ。
カク こいつだいぶお兄ちゃんぶってますわ(一同笑)。大丈夫、別に東京って日本やから。
カクさんの東京進出へのお気持ちは?
カク 僕はもう一言です。(拳を握った片手を前に出しながら)「かかってこい東京!」。これでいきます。
最後に、決断に悩んでいる高校生におふたりからアドバイスをいただけますか?
カク 大きな決断がその時々来るんですけど、意外となんとかうまくいくから全部を大きな決断と思わない方がいいっていう感じですね。何年か経ったら、「あれ失敗したけど、ま、ええか」みたいな感じで思うんで、適当に生きた方が楽です。っていうのを所ジョージさんが言ってて。僕は所ジョージさんになりたくて、そういうマインドで生きてます。それにヨシオはいつも付き合わされてます(笑)
ヨシオ 僕が一番お世話になった大学時代のバイト先の店長から言われた一言が衝撃でずっと大事にしてるんですが、「ヨッシーは楽がしたいの?楽って楽しい? 楽イコール楽しいじゃないよ」って。僕は昔からめんどくさがりやったんですけど、たとえしんどいと思っても、まず楽しいというか、心踊る方に行った方がいいんじゃないかなって思います。
「東京での新生活に今用意したいこと」
ヨシオ 劇場が学校のような感じに近いので、環境が変わっても下からすいませんって謙虚に入るっていうよりは、自然体で入れるよう、強気のメンタルを用意して行こうと思ってますね。あと、新しい家がベランダなく部屋干しなるんで衣類乾燥機は用意したいなって。
カク 僕は恋愛が大好きなんで、東京行ったらもっと仕事を頑張るために、東京では絶対恋愛をしないでおこうっていう心構えです。でも杉咲花が「仕事を頑張って人生を豊かにするんじゃなくて、人生を豊かにするために仕事がある」みたいな言葉を言っていたので、恋愛もお笑いも頑張れる環境を整えます。
カク
2001年1月16日生まれ
兵庫県出身
NSC大阪校44期生
カタヤマヨシオ
1998年3月18日生まれ
富山県出身
NSC大阪校44期生
<ぺTOKYO>
5/10(火) 神保町よしもと漫才劇場
出演:[企画ライブ]ぺ/オダウエダ/ブラゴーリ/兄弟/ビッグ小原健太