参加者が推理小説の登場人物となり、話し合いながら事件の解決を目指す体験型ゲームの新ジャンル「マーダーミステリー」を題材にし、これまでドラマ、舞台化されてきた「マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿」シリーズが『劇場版 マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿 鬼灯村伝説 呪いの血』として2月16日(金)より公開。
台本なし、セリフなし、出演者すら犯人を知らないという新感覚ミステリーに挑まれた文音さん、松村沙友理さんに映画の魅力をお聞きしました!
STORY
劇場版の舞台は『一夜のうちに3人の生贄の血を滴らせると死者が蘇生する』という不気味な伝承が残る鬼灯村(ほおずきむら)。その伝承をもとに「三つ首祭り」という奇妙な鬼祭が行われていた夜、村の長を務める一乗寺家当主の遺体が発見される。
しかし、その日、村へと続く一本道で土砂崩れが発生、警察が到着する迄にはかなりの時間を要する。当時、屋敷にいたのは8人。それぞれ人には言えない秘密を抱えており、殺害の動機を持っていた。事件の真相に迫るべく、登場人物を演じるキャストによるアドリブ推理が予測不能な結末へと導かれていく!
最初から恐怖しかなかった(文音)
一足早く作品を観させていただきました。ホラーは苦手なので最後まで観られるかなと心配だったのですが、“誰が嘘をついてるの?” と推理に夢中になり楽しく拝見できました。お二人はすでに本編はご覧になられましたか?
文音 はい、観ました。私、撮影中の記憶が全くなかったので、作品の中の自分の表情を見ながら、“この時、この人が怪しいと思ってた” とか思い出していった感じです。
松村 自分が撮影に参加してないシーンを観て、“みんなで会議してたんだ” “実はこういう風に話が進んでいたんだ” と、知らないことをたくさん知れてすごく面白かったです。
文音 初日はアドリブシーン、翌日は台本が用意された回想シーンの撮影だったんですが、アドリブシーンを撮影した日の夜に初めて台本を渡されたんです。台本にはストーリーや犯人、犯行動機など知らない事実がいっぱい書いてあって、撮影時にわからなかったことが全部つながりました。
事前に役の情報は与えられていたのですか?
文音 私は後妻役なのですが、役名とどういう経緯で結婚したかなどが箇条書きでキャラクターシートに書かれていました。
松村 私は「お屋敷で働いているメイド」とあとひとつ設定が書かれていたくらいです。
文音 あとは、「〇〇を守れ」「〇〇をサポートしろ」とか、そういう感じだっけ?
松村 そうですね。「〇〇が責められている時は守れ」と書いてあったんですが、なんで私が守らなきゃいけないんだろう? と守る理由がわかならないまま “守らなきゃ!” みたいな気持ちだけを持って演じていました。
皆さん、お互いの役柄の関係性はご存知でしたか?
文音 はい。キャラクターシートに書いてありました。そこまで詳しくは書かれていなかったですが。(映画のチラシをご覧になりながら)、「メイド」「料理人」とは知ってたけど、「幼さが残る屋敷のメイド」「長年屋敷の料理人」とかはたぶん後から設定を足したんじゃないかな。
松村 私もチラシに書いてある設定を見て、“幼さが残ってるんだ” って。それ私の演技の問題ですよね(笑)
出演が決まられてからクランクインまでの間に役作りに向けて何か準備されたことはありますか?
松村 台本もセリフもなかったので、キャラクターシートを読み込んで覚えました。
文音 そう。キャラクターシートをとにかく読みました。台本がなかったので、私は最初から恐怖しかなかったです。
わずかな情報の中で役作りはどのようにされていったのですか?
文音 キャラクターシートに基づいた必要最低限の役を考えるしかなくて、私はその設定に自分で肉付けをして行くという作業をしましたね。
松村 メイド役だったので、メイドとしての意識を持って撮影時は皆さんの輪に入って喋らないように心掛けていました。
お屋敷のシーンの撮影中にカットはありましたか?
文音 カットは1回もかからなくて、最後のシーンだけだよね。
松村 最後だけです。だから、私たちもいつ撮影が終わるのか、どこで終わりなのかも全くわからなかったんです。もう一生撮影が続くんじゃないかと思ってました(一同笑)
お屋敷の中で、お二人ずつでお話するシーンがありましたが、どのように撮影されていたのですか?
松村 「〇〇と〇〇が二人で会話してください」って急に二人が連れていかれて喋るみたいな。
文音 話す相手だけは決定していて、自分で発見したわけではないのに、(撮影スタッフから)あなたはこれを発見しましたっていきなり物を手渡されて、あの人と喋ってきてください。よーいどん! みたいな感じだったよね。
松村 手渡された物を相手に見せるか、相手に見せずに自分だけの情報にするかもアドリブだったので、演じる上でちょっと難しかったです。
文音 私、全部相手に見せてた(笑)
松村 いい人だ~!(笑)
撮影中に監督やスタッフさんから演技の指導はありましたか?
文音 私は一切なかったです。
松村 私もなかったです。
文音 スタッフさんからは「誰が犯人だと思います?」くらいしか聞かれなくて。もっと演技をこうして欲しいとか言ってくれたら楽だったんですけど、本当に全くなかったです。
出演者同士が怒鳴り合うシーンでは緊迫感がありましたが、撮影中の雰囲気はいかがでしたか?
松村 すごかったです。役者さんって急に演技のスイッチを入れられてすごい! と、ただひたすら感動してました。
文音 ねー、すごかった。皆さんピリッとして緊張感もあって、演技も興味深かったです。台本がないのでそれぞれの会話から、その人のバックグラウンドなどのヒントを得ていたので、撮影現場はすごく集中して緊張感のある雰囲気でした。(劇団)ひとりさんだけが特質な感じでした。
劇団ひとりさんも詳細は知らずに撮影に臨まれていたんですか?
文音 「知らない」っておっしゃっていました。
自信がある(松村)
休憩中は皆さんで会話をしないように皆さん別々で隔離されていたそうですが、その間も推理は続けられていましたか?
松村 ずっと続けていました。休憩時間はマネージャーさんに話しながら、情報をずっと整理していました。いろんなことが次々に起こるので、自分が持っている情報が自分でもわからなくなっていました。
文音 ひとり1台車が用意されていて、休憩中にアドバイザーと言われてる人が私たちひとりにつきひとりついていたんです。そのアドバイザーが「犯人誰だと思う?」とかいろいろ聞いてくるので、推理せざるを得ない状況で。隣に座ってくるし(一同笑)
演じながら推理をしているとどうしても推理ばかりに頭がいってしまう気がするのですが、推理と演技のバランスは考えられていましたか?
文音 考える余裕もなかった感じだよね?
松村 うんうん。
文音 だから、“ここ、文音出てる” ってところもあるんですよ(一同笑)。台本がないと究極の状態になった時に役を意識してはいるけど自分が出てる部分もあります。でもそれが『マーダー★ミステリー』の面白さなのかなとも思います。
松村 私は犯人を探すのにとにかく推理に必死でした(笑)
何かを知っていても隠したり、嘘をついたりするのも今作の見所のひとつだと思うのですが、お二人は普段の生活で嘘つくのは上手な方だと思われますか?
松村 ははは(笑)。すごい質問!
文音 私はわかりやすいんで、嘘をつけないです。すぐにバレちゃう。
松村 嘘つけなさそう! 嘘をつかないでいい生き方をされてそうですよね。人生で嘘をつく瞬間がなく、人生に嘘がなさそうです。
松村さんはいかがですか?
松村 私も結構嘘がバレるタイプかなと思います。嘘をついている時はわかりやすくて、無駄にペラペラ喋っちゃいます。
お二人は最初に今回の出演のオファーがきた時はどう思われました?
松村 呑気にルンルンで楽しみ! って感じでした(笑)。でも、先輩方が今回オファーを受けるのが怖かったとおっしゃっていたので、心の持ち方はそっちだったのかとそこで気付きました。自分だけ呑気だったなと。
文音 私はオファーを受けようかすごく悩みました。マネージャーと話して、今までにない実験的な映画なので、私にとってひとつの挑戦かなという思いで受けましたけど、めちゃくちゃ怖かったです。
何に対して一番怖かったですか?
文音 やっぱりセリフがないことが怖かったです。起こることが予定調和じゃない。台本があるとお芝居は予定調和なわけで、ピークに持っていくところなど逆算しながらお芝居をしていけんですが、それが計算できないしお芝居の組み立てもできない。予想がつかないことが起きるんじゃないかとか、舞台で活躍されている八嶋さんなど錚々たる役者さんが出ているので、何が飛び出してくるのか、攻撃されたらどうやって防衛しようとか、そういうことが恐怖でした。
そんな恐怖のアドリブでのお芝居のオファーがきたらまた受けられますか?
文音 私は、2月25日にこの舞台版(劇場版の公開を記念して東京労音大久保会館R’sアートコートにて「マーダー★ミステリー~探偵・班目瑞男の事件簿~」on stageが2月21日(水)~25日(日)まで開催)に出るんです。しかも舞台で…!
松村 わ~、怖い。編集なし!
文音さん、舞台は楽しみですか?
文音 いや怖いです! アドリブは今作で経験しましたが、それでもやっぱり怖いです! カットがかけられないし、舞台だから生だし、ハードルが高いです。
松村さんはいかがですか?
松村 楽しかったので、またやりたい…。
文音 「…」って感じですかね?
松村 はい。60%くらいで(笑)
最後に改めて本作の見どころを読者にお願いします!
文音 役者さんの演技は、役なのか自分自身なのか本当にわからない狭間がひとつの見どころだと思います。リアルな掛け合いが観られますし、台本がないとこんなぐちゃぐちゃになるんだとかも(笑)。他の作品とは違う特別感があります。役なのか素なのかを想像しながら観ていただくのも面白いと思います。
松村 私も役者さんの役者力を感じてもらいたいと思います。あとは、犯人がわかる人が絶対にいない自信があります! めっちゃ難しいので、このミステリーに挑戦して欲しいです!
- 監督:光岡麦
- 出演:劇団ひとり 剛力彩芽
木村了 犬飼貴丈 文音 北原里英 松村沙友理 堀田眞三
八嶋智人 高橋克典 - 宣伝・配給:アイエスフィールド
© 2024劇場版「マーダー★ミステリー 斑目瑞男の事件簿」フィルムパートナーズ
2/16(金)より全国公開