株式会社ゴンチャ ジャパン 角田淳社長
コロナ禍以降、タピオカブームが終息する中で、根強くファンを増やし続けているゴンチャ。高校生には学割制度の存在も大きい。そこにどんな思いがあるのか、代表の角田社長に話を聞きました!
まずは会社について教えてください。
世界で2200店舗以上展開
グローバルのティーカフェ
我々はグローバルのティーカフェと位置付けています。発祥は台湾なのですが、ゴンチャのグローバルの本部はロンドンにあって、イギリス以外に日本・韓国・アメリカは直轄で経営しています。日本は国内に176店舗(2024年12月末時点)、主に関東・近畿・中部、そして福岡と札幌を中心にお店を増やしています。今9年目のまだ新しい会社です。僕自身は、ゴンチャの社長になる前は日本サブウェイにいましたし(2021年にゴンチャ ジャパン代表に就任)、社員も前職で飲食業界やさまざまな業界での経験があり、それらの経験を持ち寄って、ゴンチャに注ぎ込んでくれています。
角田社長が社長就任して、社内で変えたことはありますか?
お客様・従業員の推奨度を上げる
さまざまな取り組み
僕は “楽しむ” ことを大事にしたいと思っているので、ゴンチャに来ていただくお客様に楽しんでもらえることと働いているメンバーも楽しめていること、このブランドを人におすすめできる状態にあるかどうかを可視化できるようにしました。専門用語では「ネットプロモータースコア」と言うのですが、「もう行かない」と言う人もいれば「すごく良かったから絶対行って」と言う人もいますよね。その「絶対行って」と推奨してくれるお客様がどれくらいいるかを店舗ごとに定期的にアンケートを取り、推奨度が低い店舗は笑顔がないのか提供スピードが遅いのか、商品がちゃんとできていなかったのかなどその理由を深掘りして、改善しています。従業員側にも同じように聞き、会社の推奨度が低ければそれはお給料なのか、やりがいや目標設定がちゃんとされていないからなのかなど、課題を見つけていきます。
また、社員に楽しんでもらうために始めた社内イベントでは、オフィスのメンバーみんなで茶畑に行ってお茶摘みをしたり、運動会や忘年会をしたりもしています。文化祭の実行委員みたいな感じで、希望者を募ってみんながアイデアを出して企画してくれています。あと、ゴンチャでは以前クルーの方の髪の毛の色に規定があったのですが、それはすべてやめました。これは僕自身、高校時代に髪型も服装もみんな同じじゃなきゃいけないという校則に違和感を感じていたことが大きいです。ネイルは衛生上の問題でダメにしているんだけど、髪の毛の色は食品には関係ないですからね。
高校生にとって嬉しい学割制度。
そこにはどんな思いが?
学生時代の貴重な時間を
ゴンチャで楽しく過ごしてほしい
僕にも高校時代によく行っていて思い出に残っているカフェがあるんです。そこのポテトは独特なスパイスがかかっていて美味しくて。僕たちが大事にしているのは、お客様の店舗での体験です。だから学生の皆さんにとってゴンチャがそんな場所であってほしいなという思いがあります。大学生の歳になると学生ではない方もいらっしゃるので、22歳以下全員割引みたいにしてもいいんじゃないかなと思って今悩んでいるところです。
角田社長のお気に入りのゴンチャメニューは?
最近のブームは
「黒糖 烏龍 アーモンドミルクティー」
最近は「黒糖 烏龍 アーモンドミルクティー」でパールトッピングが好きです。あっさりしているんだけど、小腹が減った時にはパールが程よいボリューム感があっていいんです。でもいろんなブームがあって、「ざくろ&ストロベリー ミルク」も混ぜるとヨーグルトドリンクのようになって好きだし、ストレートティーなら「阿里山ウーロンティー」がすごく好きです。実は阿里山ウーロンTシャツとかジャスミングリーンTシャツとかひとりで勝手に作って楽しんでいるんですが、会社に着て来ても誰も気づいてくれない時があります(笑)
ブランドを確立していく時に大事なことは何だと思いますか?
お客様との約束を守り、
楽しめる環境を提供
難しい質問ですね。ブランドって、やっぱり約束だと思うんです。例えば店舗の前に季節限定の商品の写真が出ていて、それを見て買ったのに、実際に受け取った商品がイメージと違うとがっかりしますよね。だから我々は皆さんと交わした約束を守れる会社にしたいと思っています。そして自分たちがやっていることに誇りを持っていること、何よりハッピーであることが一番大事だと思います。皆さんが良いブランドだなと思うところって、働いている人にとってもすごく良いと思うんです。売っている商品だけではなく、そこでかかっている音楽も良かったり。だから約束を守ることと、楽しめる環境を提供できることが大切だと思います。
飲食業界の経営を良くすることとほかの業界で経営を良くすることの違いはありますか?
本質は変わらないと思います。やっぱり会社って “人” だと思うから、関わっている人たちが一人ひとりしっかりとプロ意識を持って仕事ができるかどうか。学校で言うといろんな部活がありますよね。それぞれに競技や練習は違うけど、何かを目指して本気でやる時って、みんなが自分のやらなきゃいけないことをちゃんと理解してコミットできているかが大事でしょ。それと同じだと思います。
ご自身の強みはどうやって見つけましたか?
強みは人に評価されて
初めて本当の強みになる
僕は結構楽観的なので、あまり細かいことは気にしないし、自分の考えていることはちゃんと言えるタイプです。でも強みとなると、「これが僕の強みです」と意識して出していくというより、人に評価されて初めて本当の強みになるものだと思うので、チームの中でそれを発揮できるようにすることが大切かなと思います。家では自分を強く持っていても学校に行った瞬間に出せなくなってしまうというのはもったいないので、自分の強みだと思うことをとにかく信じて失敗を恐れずにチームの中でやっていくことが一番だと思います。最終的にはそれが楽しめているかどうか。楽しめていれば間違っていないと思います。
例えば人に評価されたり否定された時に自信がなくなったりはしませんでしたか?
僕はミックスで、5歳までブラジルに暮らしていました。日本に帰って来た時には外国人扱いをされたり、常識が違うことで萎縮して悩んだ時期もあるのですが、途中から気づいたんです。全員同じより違う方がいいよねって。出る杭は打たれると言いますが、杭は打たれるためにあるので、打ってもらえないと杭じゃないし、どうせなら出てなきゃ損だと思いました。周りに合わせて本来の自分じゃなくなるなら、それが楽しければいいですが、そうでなければ、世界は広いし、そのグループやその学校、その会社にとらわれず、もっと充実した時間を過ごせる環境に変えた方がいいと僕は思います。石の上にも3年と言いますが、楽しくないのに3年も座っていたら石になっちゃうからね!
最初から“仕事って楽しい”と感じましたか?
僕は結構、学生時代のアルバイトの時から仕事は楽しかったですね。工事現場のアルバイトとか引越業者とか配達、カフェ、通訳…いろいろやりましたが、どれも発見があるんです。結果、一番自分に合っていたのが今の外食ビジネスなんですけど、好奇心が強いタイプなので、運転したことのないトラックを運転したり使ったことのない機械を使ったり、何でもチャレンジすることは大好きです。
角田社長はどんな高校生でしたか?
厳しい校則の寮生活で楽しいことに夢中
段ボール工場をクラブに変身!?
周りからは「自由」と言われていました。良い意味でも悪い意味でも空気が読めない的な(笑)。学校は中高一貫の男子校の寮生活だったので、厳しい規則だらけで大変でした。好奇心を持てるような授業をしてくれる先生はほとんどいなかったし。でも面白いと思ったことには一生懸命やるタイプで、部活のラグビーは真剣にやっていました。
友だちの親が会社をしていて段ボール工場があったので、そこにDJブースを作ってクラブみたいにして、チケットもみんなで作って友だちを呼んでイベントをしたり、当時はいかに校則をかいくぐって遊ぶかと部活に夢中でした。食材を買って来て、裏山でこっそり七輪で焼肉をしたり、友だちの学校のイベントに遊びに行ったりね。寮にはラジオもテレビもなかったので、本もたくさん読みました。メキシコに知り合いがいたので、ひとりで旅行に行ったりもしていましたね。
進路はどう決めましたか?
高校卒業後はアメリカの大学に進みました。中学生の頃からアメリカに行きたいという思いがあって、ずっと海外へ出ることを考えていました。そのわりには英語の勉強はあまりしていなかったのですが、まずはアメリカの語学学校に行って。とにかく行きたいという一心で、将来何になりたいからみたいなことは考えられていなかったですが、ルールに縛られるのが得意ではなく、父も海外を転々とするような仕事をしていたので自分で何かビジネスをしたいなという意識はあったように思います。
楽しむこと
僕は “楽しい” を一番大切にしたいと思っています。ゴンチャに来てくださるお客様はもちろん、働いているメンバーにも楽しんでほしい。ただ、それは厳しさがあって成り立つものだから、部活であれば全国大会の優勝を目指すような、目標を高く、チャレンジを続ける中での楽しさを目指せる会社であったらいいなと思っています。
チャレンジすること
子どもの頃って、スケボーを始めても楽しむことが先に立つから、怪我することなど気にしていなくて、どんどんチャレンジして上手くなりますよね。僕の子もそう。でも僕は怪我するのを避けようとしてなかなか上達しない。だから僕も失敗することを恐れずにどんどんチャレンジしていきたいと思っています。
凡事徹底
例えば店舗で言うと、来る予定だったクルーの方が来られなくなったとか、店長さんが風邪を引いて3日間来られないとか、日々いろんな出来事が起こるんですが、どんな時もお店の中はきちんと掃除する必要があるし、必ずやらないといけないことは徹底してやっていこうということです。
角田社長
進路に悩む学生へメッセージ
これは、自分が高校生の時にできなかったので当時の自分に伝えたいことなのですが、1日24時間というみんなが持っている時間は平等です。だから自分の大切な時間を使うなら最大限価値のある時間になることを意識するといいと思います。それは社会人になっても同じで、時間をかける価値がないなら早めに判断してやり方を変えたり環境を変えたりする方がいいので、周りの信頼できる人の意見を聞きながら、最終的には自分で判断して決めることが大切かなと思います。高校時代はいろんなことにチャレンジする時間。失敗は多ければ多いほどいいと思います。
取材を終えて
かのん(高2)
ゴンチャを愛用する高校生です。今日は角田社長のエネルギーが今のゴンチャというブランドの雰囲気に繋がっているんだなと実感して、大好きな推しのライブに行った時くらい心動かされました! 自分でTシャツを作ってみたり、社員さんとお茶摘みに行ったり、全員(社長、社員さん、お客さん)で楽しむことに重きを置いている社長の考え方、社内の環境作りにとても惹かれました。アルバイトデビューは絶対ゴンチャがいいですー!
ちひろ(高2)
高校時代に段ボール工場を使って音楽イベントを開催していたり、社長は「そんなにすごいことだとは思っていなかった」とおっしゃっていたけれど、行動力が半端じゃなくて驚きました! その挑戦を怖がるのではなくてワクワクしながらやっていて、その「楽しむ」も社長が全国大会を目指す部活に例えていたように、自分も周りも本気でやってるからこその楽しさなんだなと感じてすごく納得しました。
しらべ(高2)
事前に調べている時からすでに社長のアクティブさを感じていましたが、実際にお会いすると想像以上の行動力でした! 高校時代から音楽ライブを開催するなんてびっくりだし、新しい環境に対してワクワクしかない姿勢に終始感激しちゃいました。オフィス見学をさせていただいた時に、社員の方々もみなさんハッピーオーラが全開だったので、働きたくなる会社ってこういうところを言うんだろうなと思いました。
れいな(高2)
角田社長のチャレンジ精神に圧倒されました。自分の得意なことを模索し、評価され、違うと思ったら環境を変えるなどの力は、何にでも意欲的に取り組んで場数を踏んできたからこそできることだと思うので、経験の重要さを改めて感じました。私はまず「面倒くさい」という口癖を封印することを決意しました! 人と違うことを個性と受け入れ、ひとつの環境で自分の強みを決めてしまわないというのも素敵な考え方でした!
けい(高1)
「楽しいと思えないなら環境を変えるべき」というお話は目から鱗が落ちました! 私たち高校生は、自分の夢や進路についてよく聞かれ、考えなければいけない機会がたくさんありますが、なぜ一つに絞らなければいけないのだろうと思うことがよくありました。今日、やりたいことはすべてやればいいんだなと思うことができました! 店舗内の雰囲気をよくするため、クルーの皆さままで楽しいと思える環境作りをされているのも素晴らしかったです。