そんな時こそ試される
山崎監督の学生時代についてお聞きしていきたいです。山崎監督の高校時代はどんな学生でしたか?
山崎 自分で言うのもなんですが、そこそこ進学校に通っていたんです。でも、僕は(将来は)映像方面に進もうと思っていたので、みんなと勉強の方向が全然違っていて。長野県松本市で暮らしていて全く伝手がない中、どうしたら映像関係の仕事に就けるのかとものすごく悶々としていました。それで、映像はちょっと難しいかもしれないけどイラストレーターにはなれるかなと思って図書館でイラストの勉強をしていると、周りの人にはただ遊んでるようにしか見えないから、「お前、図書館まで来て何絵描いてんだよ!」「勉強しろ!」って心配されちゃって…。
学校でイラストを発表されることはありましたか?
山崎 高校の文化祭のポスターとか、そういう絵に関わる時だけちょっと水面から顔を出す…(一同笑)
勉強はお得意でしたか?
山崎 高校って勉強能力の高い人と中学までは何もしなくても勉強ができる地頭のいい人たちが集まるんですよね。でも地頭のいい人たちは勉強する能力がないので高校に入ってから大変な転落ぶりを見せるんです(笑)。僕は割とそっちでした。中学までは「神童」と呼ばれて(笑)、何もしなくても全ての教科でいい点が取れていたんですけど、みるみるうちに転落していって成績はひどいもんで…。“俺は映像なんで” と自分に言い聞かせて過ごしていたけど、高3になると勉強能力のあるやつがまたフル回転で勉強し始めるから大きな差がありすぎて、やっべえなと思いながら…。
高校卒業後は美術系の専門学校に進学されたんですね。
山崎 高校卒業後はどうすればいいか本当に焦っていて、東京に行って専門学校に入ったんです。学校で絵を描いたり映像作ったりすると、みんながびっくりして褒めてくれるんです。みんなから尊敬されてクラスのヒエラルキーの上に上がっていくわけですよ。高校時代と比べたら、天国かと思いました(笑)。例えば、人が10のエネルギーを使ってプレゼンするところ、自分は20のエネルギーでやるとみんながびっくりするので、絵の課題の結果を発表する時に僕は映像も作って、部屋を暗くしてみんなに映像を見せる。するとみんなが「すごいプレゼンだ!」と言うわけですよ。もうなんか夢の国に来たみたいな、そんなことで褒められる世界があるんだと思って。あの当時は結構張り切ってました。でも、その頃の僕はイラストレーターになろうと思ってたんですけどね。
映像の技術はどこで学ばれたんですか?
山崎 独学です。いろんな本を読んで、映像を作るにはどうすればいいかというノウハウを習得したような気分になっていました。
その後も専門学校では順調でしたか?
山崎 寺田克也という世界的に有名なイラストレーターが僕の1個上の先輩だったんです。それで「山崎、そういうSFっぽい絵を描くんだったらいい先輩いるぞ」と言われて絵を見せてもらったら、くっそ上手い絵を描いてるんです。美大や芸大の生徒だったら納得もいくけど、専門学校にこんなすごい人がゴロゴロしているなら俺なんてもう全然ダメだ、イラストレーターの道は辞めて造形の道に進もうと思ったんです。それで、造形の道に進もうと思ったら、今度は竹谷隆之という『シン・ゴジラ』の原型を作った世界的に有名な造形作家が1個上の先輩にいたんですよ(笑)
監督を含めて有名な方々をたくさん輩出されている専門学校ですね。
山崎 阿佐ヶ谷美術専門学校という学校です。僕はクラスで結構一目置かれていたのに、1個上の先輩にはとんでもない天才が二人いて、じゃあこの二人がやってない映像の道でやってくしかないと思って、初志貫徹で映像の勉強を一生懸命やったわけです。
専門学校を卒業後、映像系の会社に入社されてからはいかがでしたか?
山崎 入社した時、僕は新人なのに「それはあれでやればいいんですよ」「あの映画ではこうやってやるんですよね」とか言っていて、先輩から「じゃあ、お前やってみろよ」と言われてもできなくて。本でノウハウを学んだつもりでいたけど、本にはいろんな経験の後に成功したことしか書かれていないから同じことやろうと思っても絶対に上手くいかないんですよね。僕が先輩に「すみません。できません」と言うので、初期の頃は “口だけ大将” でした(笑)
その当時からたくさんの経験を積み上げられて、本作『ゴジラ-1.0』が生まれたんですね。では、最後に夢を追いかけている高校生読者にメッセージをお願いします。
山崎 “夢追いかけ系” は特に大変なことになるので、それでもやりたいかどうかが大事ですよね。上手くいっているポジティブな時は本当に楽しいけど、ネガティブな状態って絶対訪れる。“それでも自分はそれが好きでどうしようもない” という情熱があった時に初めてその世界の神様が祝福してくれると思うんです。だから、本当にしがみついてでもやりたいという気持ちがあったら、そこで初めて(夢に向かって)走る権利が与えられるんじゃないかな。本当に自分がそれを好きでやるのか、モテたいからやるのかを見極めなきゃいけないと思います。ネガティブな時こそ、その人が試される時だから頑張ってください。
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【プレゼント🎁】#山崎貴監督
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応募方法 11/19日〆
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- 監督・脚本・VFX:山崎 貴
- 出演:神木隆之介 浜辺美波
山田裕貴 青木崇高
吉岡秀隆 安藤サクラ 佐々木蔵之介 - 配給:東宝
©2023 TOHO CO., LTD.
11月3日(金・祝)より全国公開