映画『ゴジラ-1.0』|山崎貴監督「マイナスな状態でなんとか工夫して成し遂げようとする時にドラマが生まれる」

知的好奇心のある人は
どんどん伸びていく

山崎監督は日本のVFX技術の第一人者と言われていますが、VFX技術を使って映画を作る魅力は何ですか?

山崎 自分で見たことのないものを作りながら見ることができることですね。ゴジラが暴れているところを最初に見れるんです。それが仕事になるというのは本当にありがたいことだなと思っています。

そのVFX技術を使った『ゴジラ-1.0』で、特にこだわったところを教えてください。

山崎 海です。海の波って技術的にすっごく難しいものなので、今まで日本の映画で海がそんなに出てくることはなかったと思うんですけど、今回はそこにお金と人材をめちゃくちゃ投入して今の技術の海とそこで暴れるゴジラ、そして船を描きました。まぁ大変なんですけど、スタッフが頑張ってくれました。

ところで、山崎監督は中学生の頃からVFXに触れられていたということですが、監督になろうと思われたのはいつ頃、どんなタイミングででしたか?

山崎 30歳過ぎてからです。僕はVFXの人になりたくて、なれたんです。でもある日、自分のやりたいタイプのVFXの仕事が来ないことに気付いたんです。日本の映画やCMには宇宙船とか出てこないんです。VFXをやる人間になれたつもりでいたけど、自分が本当になりたいVFXの人になるにはどうしたらいいんだろうと思った時に企画を出せる人になるしかない! 監督になるしかない! って思ったんです。

具体的に何歳の頃ですか?

山崎 32、33歳くらい。30歳超えると一瞬焦るんだよね。

映画製作に興味を持つ高校生読者も多いと思うのですが、映画業界を目指す人に大切なものは何でしょうか?

山崎 (映画業界は)細分化されているので、どのパートをやりたいかによって資質は違ってくるんですけど、大切なのは好奇心かな。知的好奇心があって新しいものをどんどん取り入れる気持ちがある人は伸びていく気がします。あとは監督に対して提案できる人かな。

監督はこれまでのお仕事で挫折やスランプを感じられたり、仕事が嫌になったりしたことはありましたか?

山崎 意外と10個褒められても、1個ネガティブな意見があると割と心に刺さるんです。理論武装というか皮が厚くなってだけなんですけど、たまに射抜かれる時があって、“もうダメだ” って。でも、すぐ立ち直りますけど(一同笑)。

この仕事をしていて良かったと思われますか?

山崎 僕はジョブチェンジを繰り返しているわけですよ。企画を立てる時、脚本家の時、監督の時、VFXの時、今みたいな宣伝する時…って繰り返しているので飽きないんです。脚本を書いてる時はいろんな人にこれはダメ、あれはダメと言われてブーブー言いながら書いて、監督をしてる時は、なんでこんな脚本を書いたんだって脚本家の自分にブーブー言いながら作って、VFXの時はなんでこんなシーンを作ったんだってブーブー言いながら(笑)。でも作品が完成するとやっぱり映画を作っていて良かったなというループを繰り返してる感じです。

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