マンガ家・イラストレーターとして活躍するクリエイター・宇木敦哉さんがほぼひとりで作り上げた短編アニメーション『センコロール』。
2009年公開時、ファンの熱狂的な支持を得た本作のプロジェクト開始から10年、伝説の第1作と、その直接の続編となる第2作を合わせた『センコロール コネクト』が、いよいよ6月29日(土)より公開!
本作について宇木敦哉さんにお話を伺いました。
監督の世界観が詰まった『センコロール』
独特な世界観の本作ですが、どのようなコンセプトで制作されたのですか?
自分の好きなモチーフやシチュエーションを優先して作っていきました。
監督の世界観が詰まっているんですね。今回、監督・脚本・作画をおひとりで担当されてますが、制作で特に大変だったことはなんですか?
第2作は手伝っていただいた部分もありますが、やっぱり一番時間がかかったのは原画ですね。
制作に詰まった時はどんな息抜きをしていましたか?
しょちゅう息抜きしてましたね(笑)。外に出るのもいいんですけど、外に出ない時はスマホゲームをやったり。他には作業中に動画配信サイトで映像を観たり、ラジオを聴いたり、音楽を聴いたりというサイクルがありました。
本作の舞台に札幌を選んだ理由は?
素材が欲しくなったらすぐに外に出て写真を撮れるのがいいなと思い、札幌を選びました。札幌にしか住んだことがないので他の街と比較できないのですが、市内でも少し車を出せば自然豊かなところに行けたり、中心部は便利なものがたくさんあったり遊ぶところもあったりして、その規模感がちょうどいいのかなと思います。
登場する怪物はとてもユニークなデザインですが、何かモチーフになったものはあるのですか?
具体的なモチーフ自体は特にないですが、センコは手足が短くて人間の赤ちゃんっぽいかな。
頭の中に浮かんだものを描き起こしていったような感じでしょうか?
そうですね。あとは劇中でどういう動きをするのかを考えながらデザインを起こしていきました。
supercellのryoさんが音楽を手がけていますが、劇中で使われる楽曲のイメージなどはリクエストされていたのですか?
音響監督の岩浪さんに音楽を入れるシーンのメニュー表を作っていただいて、そこからryoさんに制作をお願いしました。基本的にはryoさんにお任せしていましたが、出来上がった曲を確認して僕のほうから再度リクエストした曲もいくつかあります。
自主制作の映像作品を作る場合は、ある程度音楽の知識があったほうがいいのでしょうか?
どんなことにでも言えると思いますが、知識はあるに越したことはないですし、知識は自分の武器になるので、いろんな分野の知識があることは良いことだと思います。
宇木監督が制作活動で心がけていることはなんですか?
自分が楽しんでやれるものや、そういう仕事を選ぶのが大事かなと思います。好きなことを続けていくというのはモチベーションを保つのにも大事なことなので、自分の気持ちをコントロールしつつやっていくのが長く続けられる秘訣じゃないかと思います。
作品を発信することが上達の近道
監督が現在の道に進もうと思い始めたのはいつ頃でしたか?
高校の時は絵とは全く関係のない理系の進学校だったんですけど、高3の11月に突然絵を描きたいと思い始めて。美術系の大学を受けたんですけど、勉強期間がさすがに短かったので落ちてしまって、そこから一浪して入学しました。
高校3年生になるまでは絵を描くことはあまりなかったのでしょうか?
小学校の頃によく描いていたのですがだんだん描かなくなって、高校の頃は全く描いてなかったです。一浪してからは美術予備校に通って、そこでずっと受験用のデッサンの勉強をしていました。
デッサンは絵を描く上ですごく大事なことだと聞きます。
そうですね。大学に入るとみんな授業の課題に追われたりして、意外とデッサンを描かなくなるんです。なのでそういう意味では一浪をしてずっとデッサンの勉強ができたのは良かったかもしれません。
これまでの中で、影響を受けた作品などはありますか?
いろいろありますが、マンガだったら「ドラゴンボール」とか「3×3EYES〈サザンアイズ〉」とか「はじめの一歩」といったメジャーな作品はよく読んでいました。ゲームもやっていたので、ゲームについてくるアートワークを読んだり。昔のファミコンとかスーパーファミコンはドット絵なんですけど、ゲームの説明書にはキャラクターの絵や武器の絵がしっかり描かれていたりして、そういうのが良いなと思いました。「ドラクエ」とか「ファイナルファンタジー」の攻略本にもリアルな武器の設定画が描かれたので、よく読んでいましたね。
進路選択で地元進学か地元を離れるかで悩む高校生も多いのですが、宇木監督が札幌で活動を決めた理由はなんですか?
結婚したのが一番大きいかな。僕が独身だったら東京に行っていたと思うんですけど、今はネットが発達しているので、東京じゃなきゃこの仕事はできないということは今の時代にはないと思うので、仕事をする上では地方も東京も変わらない気がします。
最後に、将来クリエイターを目指す高校生に向けてメッセージをお願いします!
昔ならマンガを出版社に持ち込んで、そこで認められたらようやく人の目に触れるようになるのですが、今はSNSで発信しようと思えばすぐできるので、そういったツールを利用して、自分の作品を人に見てもらうことが上達する近道だと思います。
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— ch FILES 北海道版 (@ch_files) 2019年6月21日
- 監督・脚本・作画:宇木敦哉
- 音楽:ryo (supercell)
- キャスト:花澤香菜、下野紘、木村良平、森谷里美、高森奈津美、赤羽根健治
- 配給:アニプレックス
©宇木敦哉/アニプレックス ©2019 宇木敦哉/アニプレックス
6月29日(土)より『センコロール』〔2009〕、新作『センコロール2』を合わせて札幌シネマフロンティア、新宿バルト9、シネ・リーブル池袋、ミッドランドスクエアシネマ、シネ・リーブル梅田、T・ジョイ博多で特別上映!