【よしもとTALK 】シゲカズです「24歳から始めることに遅いという感覚はなかった」

ピン芸人として活躍しながら作家・演出家として企画ライブの開催、そして一昨年はクセが強めの芸人を擁する「劇団イロモンスター」を旗揚げしたシゲカズですさん。「暗黒だった」と話す高校時代からなぜお笑い芸人になったのか? chスタッフがシゲカズですさんにお話をお聞きしました。

お笑いは
全く関わりのない世界やと思ってた

シゲカズですさんは高校時代、どんな高校生でしたか?

シゲカズ 僕のことは意外と誰も「シゲカズですさん」とは呼ばないので、「シゲカズ」で大丈夫です。高校生活は普通に暗黒。マジでずっとひとりで寝て、図書室で本を読んで3年間終わりです。

図書室ではどんな本を読まれていたのですか?

シゲカズ 小説を読んだり、絵本や漫画も読んだり。50巻くらいまであるコナン (「名探偵コナン」) は3年間で5周ぐらいしたと思います。

部活には入られていましたか?

シゲカズ 部活は絶対にやらない方がいいと思ってる。僕、スポーツが本当に苦手なので。中学の時は部員が5人くらいのオセロ部に入っていました。

シゲカズさんが「学校に行く意味を見出せなくて引きこもっていた」というインタビュー記事を拝見しました。 高校生の頃、学校をどのような場所と捉えていましたか?

シゲカズ 監獄。学生生活の中でも特に高校が最悪やった。いじめられていたわけではないけど、ただただおもんなくてずっとひとりでいた。

当時、心の支えになっていたものはありますか?

シゲカズ その時期はマジでなんもなかったな。高校時代の3年間って、たぶんみんなが一番楽しい瞬間やと思うけど、僕にとってはその3年間が人生で一番キツかったかもしれへん。僕はおばあちゃん子で、中3の時にそのおばあちゃんが亡くなって。両親と兄貴はいるけど、そんなに仲良くないんで。人生の中で唯一の味方がいなくなった直後の多感な高校3年間やったんで。強いて言うならアイドルを見てずっと過ごしてたかな。

高校時代にお笑いに触れることはありましたか?

シゲカズ いや、もう全く。新喜劇や「ダウンタウンのごっつええ感じ」とか誰でも見てるようなお笑いをギリ見てたぐらい。お笑いは全く関わりのない世界やと思ってた。

高校卒業後の進路について教えてください。

シゲカズ 高校を卒業してから語学留学みたいな感じでオーストラリアの語学学校に1年ぐらい通って、それはめっちゃ良かったですね。初めて狭いところから出られたみたいな感じで毎日楽しかったです。

元々海外に興味はあったのですか?

シゲカズ ちょっとはあったかな。僕の高校生活は本当にどうしようもなかったから、父親から「海外に行ってみたら?」と言われて。父親が元々海外に住んでたこともあってそういう話になって、最初はまあ行ってみようかなぐらいやったんですけど、行ってみたらめちゃくちゃハマった。外国の方と喋ることや異文化に触れることが毎日新鮮やったし、生活のリズムがゆったり流れている感じが体に合って1年間リハビリを受けた感覚でした。

どの街に行かれたのですか?

シゲカズ オーストラリアのゴールドコースト。サーファーズパラダイスといってサーフィンがめちゃくちゃ有名なところです。もちろん僕はサーフィンしてないですよ。当時は日本の半分ぐらいの物価でした。向こうはルームシェアが当たり前で外国の人たちと住んで何ヶ所か転々として楽しかったです。

日本に帰って来て、海外での経験が活きる出来事はありましたか?

シゲカズ 海外に行って何かに活かそうとか立派なことを考える人間ではなかったので、帰って来て、また日本が合わなくて、東京に行って本ばっかり読んで1年間引きこもり、そして大阪に帰って来たって感じです。先に言っときますけど、僕みたいになりたくないという感覚で読んでいただいた方が絶対いいです。

大阪では服屋さんでアルバイトをされていたそうですが、なぜ服屋さんを選ばれたのですか?

シゲカズ 適当なことを言うのは得意やし、服が好きなので。2年間勤めたんですが、“服あんま好きちゃうな” と思って辞めました (笑)

その後、NSCに入学されたそうですが、芸人さんになろうと思ったきっかけは何ですか?

シゲカズ 昔から美術とか何かを作ることが好きだったので、カメラマンがいいんじゃないかなと思ったんです。でもカメラマンになるには喋る技術がもっと必要やと思ってお笑いを見始めたら “どうせ無理やろうけど、芸人も面白いかもしれない” と思いNSCに入りました。

カメラマンになるためにお笑いを見始めたんですね。

シゲカズ 服屋を辞めて24歳ぐらいで、中途半端な生き方は良くない! 人生をどうするか考えよう! と思って再び引きこもったんです。でも、これはむちゃくちゃポジティブな引きこもりで、自分の好きなものと得意なことを分析しようと思って引きこもったんです。外国の人って自分の好きなことを探して30歳ぐらいに大学行くとか結構普通なので、24歳で遅いという感覚はなかったです。

当時どんな芸人さんのお笑いを見ていましたか?

シゲカズ ジャルジャルさんです。“すげぇ、こんな人らおんねや!” とめっちゃおもろかったのを覚えています。

NSC時代はコントをされていたのですか?

シゲカズ お笑い芸人ってコンビを組んでるイメージじゃないですか。僕もそのつもりでNSCに入ったんですけど、引きこもり体質やから人と喋ることもできんくて。でも授業でネタを発表しなあかんからひとりでコントを作っていたら今に至る感じです。

ご家族は芸人になられたことをご存知ですか?

シゲカズ 知っていますよ。「芸人やるわ」って言った時に「イェーイ!」って言ってました (笑)。僕の両親ってむちゃくちゃ明るくて友だちが多いんですが、親族で唯一僕だけ暗くてノリがずいぶん違います。

NSCでの1年はどんな1年でしたか?

シゲカズ 僕は社会人を経験してからNSCに入ったので、これが無理なら死ぬという感覚でやっていて、当時はみんなと温度差があったかもしれないです。NSCの頃からマジで今年中に売れないと終わると思いながらやっています。

芸名の「シゲカズです」はNSC時代につけられたものですか?

シゲカズ おじいちゃんが「しげかず」って名前なんです。でも、おじいちゃんは僕が生まれる前に亡くなったので全く会ったことはないんですけど。芸名をつけて何年かしてから「シゲカズ」の画数が悪いことを知って、ちょうどその頃3ヵ月連続ぐらいで骨折みたいなのをするようなことがあったんです。今さら「シゲカズ」って言い馴染んでる芸名を変えるのもダルいなと思って「です」をつけました。

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