世代や国境を越えて、世界中を魅了し続ける新海誠監督の最新作『すずめの戸締り』が現在公開中。
前作『天気の子』から3年振りとなる本作の公開を記念して、全国舞台挨拶キャンペーン「行ってきます日本」を敢行している。舞台挨拶には新海誠監督、17歳の少女・鈴芽 (すずめ) 役を演じる原菜乃華、すずめの椅子に姿を変えられてしまう青年・草太という難役を声優初挑戦ながらも見事に演じ切った松村北斗の3人が登壇。
「行ってきます日本」は関西地区からスタートし、11月17日 (木) にOSシネマズミント神戸、OSシネマズ神戸ハーバーランド、TOHOシネマズなんば、そしてTOHOシネマズ梅田の4会場 (5回登壇) にて実施された。ここでは、TOHOシネマズ梅田にて行われた舞台挨拶の様子をお届けします!
STORY
九州の静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽 (すずめ) は、「扉を探してるんだ」という旅の青年・草太に出会う。
災いが訪れてしまう扉を閉めて鍵をかける “閉じ師” として日本中を旅しているのだという草太だが、ふたりの前に現れた謎の猫・ダイジンが「すずめ すき」「おまえは じゃま」としゃべり出した次の瞬間、草太はなんと、小さな椅子に姿を変えられてしまう。
逃げるダイジンを追いかけるすずめたちの前で、次々に開き始める扉。
不思議な扉と小さな猫に導かれ、九州、四国、関西、そして東京と、日本列島を巻き込んでいくすずめの “戸締まり” の旅。
その先ですずめを待っていたのは、忘れられてしまったある真実だった。
毎日ドキドキして眠れない
まず初めにおひとりずつご挨拶を頂戴したいと思います。まずは新海誠監督、ご挨拶をお願いいたします。
新海 はじめまして。『すずめの戸締まり』を監督いたしました新海誠です。皆さん、2時間の長い映画を観ていただいて本当にうれしいです。感謝しております。今日は短い時間ではありますが楽しんでいただけいただければと思って来ました。どうぞよろしくお願いいたします。
原 岩戸鈴芽 (いわとすずめ) 役をさせていただきました原菜乃華です。皆さん、本当に今日は観ていただきありがとうございます。こんなにたくさんの方の前でお話できるのがすごくうれしいです。本日は短い時間ですがよろしくお願いします。
松村 宗像草太 (むなかたそうた) 役の松村北斗です。上映後なのでネタバレとか気にせず話してもいいかなと思ったんですけど、記者の皆さまもたくさんいらっしゃっているので、すれすれギリギリアウトという方が2、3人出そうなぐらいまで話せたらと思います。よろしくお願いします。
これまでの作品の中でも一番のスピードでたくさんの方に足を運んでいただいている『すずめの戸締まり』ですが、新海監督、映画が公開されて実感はいかがでしょうか?
新海 公開されて1週間弱ぐらい経つのですが、大変落ち着かない日々を送っております。20年ぐらいアニメーション映画を作っていますが、これほど公開した後が怖くて毎日ドキドキして眠れない映画は初めてです。それだけの熱意を持って作ったのかなと自分でも思いますし、演者の皆さんにいただいたものも最高ですし、音楽も最高ですし、絵も最高でした。あとはどれだけ届くかは僕の責任なんだなと思うと、落ち着かない日々でふたりに慰めてもらいつつ、なんとかやっております(笑)
おふたりはどんなご実感でしょうか?
原 公開する前はそもそも実感がなかったので、逆に公開する前よりも落ち着いています。映画が公開されて今までお世話になった先輩方や友だちから「すごく良かった」とメッセージをいただきました。この作品にめぐり会えてすごく幸せです。
松村 周りからの反響はものすごいです。今日舞台挨拶でいろいろまわらせていただいたのですが、客席にはご婦人の方からお父様、カップルかなと思うような高校生、お子様まで見えて、性別、年代それぞれですが、皆さん観終わった後に同じ目の輝きをされていてすごく力のある素敵な作品なのだなと今日1館1館まわりながら更に実感しています。
本当に幅広い世代の方に届いていると感じるのですが、監督はどのように感じられていますか?
新海 僕は一番その辺を受け取る力が鈍いかもしれないですけど、まだドキドキしています。確かに北斗君の言うように皆さんをお顔を見ていると作れて良かったんだなという風に思えてきました。ありがとう。
大阪についていろいろ伺っていきたいのですが、大阪の印象はいかがですか?
松村 大阪は反応がすごく良くて積極的なイメージがあります。もちろん全国各地いろんな良さがありますけど、大阪には “コミュニケーションの濃さ” みたいなそういう良さがあると思います。目線が他の劇場よりもちょっと前ですよね。
原 大阪にはついこの間も来まして、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに行ってきました。粉ものがすごく好きなので、大阪は美味しくて楽しいところというイメージがあります。うどんのつゆが透明っぽくて甘めと聞いて食べなきゃってすごく思っています。
ぜひ食べていただきたいです。今回映画の中には関西では神戸の街が出てきますね。
新海 この映画はコロナ禍と丸々制作期間が被ったんですけど、2年ぐらい前に神戸のいろんな場所を見に行って、ココとココとココをモデルにしようと決めました。今までの作品で舞台挨拶に来た時も「次は大阪を出してください!」「次は大阪を舞台にしてください!」ってすごい言われたんですよね。言われたのに神戸にしちゃったから、ちょっと後ろめたさもあるんですけど、もしかしたら次、またその次くらいに大阪を描きたいという風に思いましたね。
関西弁の二ノ宮ルミさんを演じた伊藤沙莉さんとアフレコで一番やり取りをされたのは原さんだと思いますが、伊藤沙莉さんの迫力ある関西弁の演技はいかがでしたか?
原 もうルミさんにしか聞こえなくて。
新海 スナックのママにしか聞こえないですよね。
すごいハマり役ですよね。新海監督は街をすごくリアルに描かれるので、神戸の街を見ていても関西人としてすごくうれしかったです。
新海 日本全国を旅していく話で、ふたりは方言を使うことはなかったですけど、他のメインキャストの方はもうほぼみんな方言を使っていて、方言指導の方にそれぞれ指導を受けながら本当に微妙なニュアンスを変えてくれました。
松村 そうですね。確かに。
新海 方言を使うことで出てくるあたたかさというものもきっとあると思うんですけど、ふたりはそれができなかったのは、それはそれでまた別の難しさだったと思います。
▶新海監督、原さん、松村さんに観客が直接質問!