ナオト・インティライミ｜「バックパッカーとして28カ国を周った経験が、精神的なタフネスを生んだ」

2021年にデビュー10周年を迎えた、ナオト・インティライミさん。
現在全国ツアー中の彼に北海道編集部が取材しました。
挫折を乗り越えるタフさを身につけた海外での経験、
そして留学を希望している人へのアドバイスは必読です！

３度目のデビューへ
転機は世界一周の旅

デビュー10周年はどんな思いでしたか？

ナオト　僕の場合、１回目のデビューで失敗して２回目もダメで、３回目のデビューが10周年なので、10年間歌い続けさせてくれた周りのスタッフそしてファンの方への感謝しかないです。自分の好きな音楽を作って発信して、紅白にも出させてもらって、ドームツアーを２回もやらせてもらって、こんな番組に出たいとか、こんな活動をしたいとか思い描いていた景色を一通り見させてもらいました。２度の失敗があるから、それがとんでもない現象だというのがわかる訳ですよ。１回目のデビューの20代前半の頃だったら、そんなありがたみがわからないし、テレビに出ることの難しさや配信チャートで1位を取ることの大変さなどを感じることができなかったかもしれません。現在がとんでもなく奇跡的で幸せだということを噛みしめて、その感謝の思いを伝えるような１年でした。

２度の失敗でも諦めずにチャレンジできた強さの理由は？

ナオト　1回目のデビューで失敗した時は、めちゃくちゃ落ち込んで引きこもって８ヶ月間ほぼ家を出ないような状態でした。でも、それがあったから世界一周の旅に出るという思い切ったことができた。中途半端な挫折だったら、大きな決断はできなかった。そこまで落ちたから破天荒な行動に出られた訳ですよ。23〜25歳の１年半でバックパッカーとして28カ国を周ったっていう経験が、精神的なタフネスを生みました。２回目のデビューもダメだったけど、そこで引きこもることはなかったです。続けていたら必ず光が差してくるという思いで、ずっとライブだけを繰り返していたら、サッカーを通じて桜井和寿さんと知り合い、Mr.Childrenさんのコーラスをさせていただくことになって、その２年後に３度目のデビューが叶いました。

そんな思いが詰まった10周年ツアーのDVDが発売されました。

ナオト　コロナ禍で初めてのツアーだったので、とても新鮮な気持ちで再開できました。今までは力任せのお祭りライブだったのが、シンプルに言葉とメロディー、自分の声と音で勝負しようと。「あ〜楽しかった！」だけで終わらないライブというのを心がけて演ったら、ちゃんとお客さんに届いたという実感を得られたツアーでした。コロナという逆境を機会としてポジティブに変換できたと思います。

“心の革命”の連続を経験して
　デフォルトの考え方が変わる！

今年のツアーは、去年とはまた違った形になりますか？

ナオト　コロナ禍で出せる最高のエンターティメントショーになります！去年はちゃんと歌声を届けることがテーマでしたが、今回はバンドとダンサーと作る、すごいエンタメショーという感じです。僕らはコロナ前と同じテンションで楽しいライブを行う。お客さんも声は出せないけど踊れるし騒げる。今の状況でできる最高のものを作れたかなと思います。まだまだ手放しでできる状況ではないので、本当に感染対策は徹底してリハからやっていますし、安心して会場に足を運んでいただけるような対策は取っているので、この2年間のいろんな悔しい思いとかご苦労を解き放つ、そんな機会に選んでもらえたら嬉しいなと思います。

その全国ツアーの後には、「ナオトの日」が北海道で初開催されます！

ナオト　これはツアーとは全く別もので、１年に一度、全国のどこかで開催する移動遊園地みたいなイベントなんですが、北海道で開催するのは最初で最後になると思います！実は去年も企てていたんですが、コロナで残念ながら延期になって、ようやく北海道でできるということで、全国から北海道へ観光がてら集まって来てほしいし、もちろん地元の方々にもこの何十年に一度の皆既日食のような機会を見逃さないでほしいです。ツアーを終えて脂がノリに乗った状態で、渾身のライブをやりたいと思います！

今月のテーマは「留学」なんですが、海外経験が豊富なナオトさんから高校生にアドバイスをお願いします！

ナオト　コロナで海外が宇宙のように遠いところになってしまったかもしれないけど、その前のことで話すと、世界に200以上の国と地域がある中で日本という１カ国の常識や概念でものごとを決めてしまうのは単純にもったいないと思う。海外へ出ると、今までの常識なんかぶっ飛ぶんですよ！「なんじゃ、こりゃー！？」と思うような刺激と“心の革命”の連続を経験して日本に戻るのと、そんな経験をせずに生きていくのとでは全然違う。早ければ早いほうがいい。もちろん大人になってから行く留学も素敵な経験にはなると思うけど、早ければ早いほど社会人になる上でのデフォルトの考え方が変わります！

ナオト・インティライミさんの
「価値観が大きく変わった経験は？

エチオピアでハマル族の方々と一緒に裸になって生活したこと。彼らは１日中、岩に座ってゆっくりと空を眺めている。何もしていない訳ではなく、“ぼーっとすること”をしている。僕も真似をしたけど、最初はソワソワした。何かしていないと落ち着かない現代病みたいな（笑）。それから僕の中で携帯電話と距離を持つようになって、ものすごく支配されていたのだとわかった。電車待ちの５分や信号待ちの30秒ですらとりあえず開いちゃってたけど、誰かのラーメンのストーリーは今じゃなくていい（笑）。携帯がなかったらその30秒はどうしていたかっていうと、自分の過去・現在・未来と対峙したり、誰かのことを思ったり、めちゃくちゃ重要な時間じゃないですか？それを選択することもできないくらい侵されていた。LINEやインスタ、YouTubeなどは時代を生きる上で必要なものだけど、そういったものに支配されるのではなく「自分でコントロールしていこうぜ！」と思うきっかけになりました。