今月の特集テーマは「やっぱり“世界”を見に行きたい!」。コロナで予定していた留学を断念せざるを得なくなった高校生を応援しよう、ということがきっかけで決まった企画ですが、アーティストの皆さんのお話は、どの学生にも響くメッセージとなりました。
これまでアジア、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ…20ヶ国以上の渡航経験のあるSKY-HIさんには、世界に対する意識や海外の文化に触れることの大切さについてお聞きしました!
まず、活動をされる上で、“世界”は意識されていますか?
SKY-HI これだけインターネットが発展した時代に、日本国内しか見ないということは逆に難しいですね。1990年くらいって海外旅行は大変だったんですよね、大金持ちしかできない、みたいな。海外の楽曲も1〜2ヶ月遅れて輸入盤のCDが入ってきたり。でも今は海外に行くことのハードルが下がり、音楽も発売した瞬間にストリーミングで世界中どこでも聴くことができて、リアクションも英語やポルトガル語、韓国語、中国語…と各国の言語で届くが当たり前になりました。僕としては例えば「大阪のファンです」と言ってくれる人がいてくれたら「大阪でもライブがしたいな」と思うのと同じような感覚で、海の向こうで応援してくれる方がいるならいつか直接届けに行きたいなと思うのは自然な感情ですね。
海外でのライブで何か感じられることはありますか?
SKY-HI ’17年にアメリカのLAでライブをした時は、K-POPの流れからアジア人を受け入れてくれる環境もあり、熱量高く迎え入れられてとても盛り上がりました。でも日本では、海外でライブすることがニュースとして扱われて、しかも“挑戦”みたいな書き方をされるんです。僕はそこにすごく違和感があって。規模の違いはあるにせよ、僕としては少し遠いところにライブしに行っただけなので。
それくらい、SKY-HIさんにとってはハードルが低いことなんですね。
SKY-HI そうですね。大変なのって時差くらいじゃないですか? だからメラトニンを持って行くだけです(笑)
海外で何か大きく価値観が変わったような体験はありましたか?
SKY-HI テレビ番組の企画で、ケニアのマサイ族のところで2週間過ごしたことがあって、“レンジャー”と言われる野生動物の保護と観察の仕事を手伝ったんですが、その時にすごく驚いたのが、彼らに“守ってあげている”という意識がまったくなかったことでした。単純に、同じところに住んでいる同じ動物で、人間はたまたま頭が良くて道具が使えるから彼らのリーダーになるのは当然じゃないか、という考えで…。その時に、人間というのがただ一つの動物の種族であると強く感じて、他の動物と切り分けた考え方がなくなりました。
世界に触れることで得られることは何だと思われますか?
SKY-HI 国が違うとカルチャーが違うので、今までの自分の当たり前が全然当たり前じゃなくなるんですよね。地域の数だけ当たり前があって、自分にとって異常と感じることも彼らにとっては当たり前だったりします。海外に行くと自然とそれを体感できるから、自分と違う意見や考えを尊重できるようになると思います。あと、僕も音楽を作っている人間ですが、ロックバンドの人と会うと、自分はラッパーなんだなと感じるんです。普段はあまりに当たり前すぎて自覚することはないんだけど。他の国に行けば自分がアジア人、日本人ということをすごく感じるし、自分が何者であるかを知れるきっかけになってアイデンティティの確立にもなると思います。
ch FILESと学校総選挙が開催した
「SKY-HIさんと誹謗中傷問題を考えるオンライン会議」の様子は
こちらからご覧いただけます。
ぜひ皆さんも考えてみてください!