バカリズム原作・脚本『架空OL日記』の裏表-「僕もここまでなじむとは思ってなかった(笑)」

架空OL日記

バカリズムさんが3年にわたり銀行に勤めるOLになりきり、こっそり綴っていたブログ。リアルすぎる日常は多くの共感を呼び、著者の正体が明かされた時は「嘘だろ」と話題騒然となった。そんな『架空OL日記』が、’17年にHuluで配信された連続ドラマに続き、なんと映画化に!

架空OL日記

制服女子に囲まれた
バカリズムに違和感ゼロ!

ドラマも映画も、銀行員の制服を着たバカリズムさんが周りのOLさんにエグいぐらいなじんでいて、すごい面白かったです!

バカリズム エグかったですか(笑)

はい、エグかったです!(笑)映画化はどの時点で決まったんですか?

バカリズム じわぁ~っと周りを巻き込みながら決まっていった感じです。Huluのドラマの撮影をしている頃から出演者側は「またやりたいね」という話をしていて、「もし次やるとしたら何日記だろう?」というのをロケバスの中で話したりもしていて。

他にはどんな職業が挙がっていたんですか?

夏帆 受付嬢とか。

佐藤 CAさんとか。

バカリズム いろいろあったんですが、やっぱり銀行員が一番しっくりくるというか、超えるものはないな、というのがあって。

なんか今お話ししていても、皆さん『架空OL日記』の中の人そのままって感じで不思議です。

夏帆 カメラが回っていない時も、5人の空気感はそのままなんです。とても自然で。でもきっとバカリズムさんだからこそ成立していることなんだろうなとは思います。

バカリズム 不思議ですよね。映画史上もドラマ史上も前例のないものだから。僕もある程度は想定していたんですが、ここまでなじむとは思っていなかったですし(笑)

佐藤 逆にバカリズムさんとしては、周りがみんな女子で、違和感とかあるんですか?

バカリズム 別にないですね。実は脚本の段階で、そうならないように脚本を書いているんです。例えば恋愛とか、男性であることと女性であることで明らかに違いが出てくるシーンは出てこないように避けていたり。だから意外とすごく繊細に、絶妙なバランスで書いています。

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一定のテンションで描く
“日常あるある”が笑いを誘う

どのエピソードも日常の「女子あるある」だなって見ながらずっと笑っていたんですが、夏帆さんと佐藤さんは脚本の中で共感された部分はありますか?

夏帆 共感という目線では見ていなかったんですが、リップを忘れちゃったけど、前に使ったリップがそのままカバンに入っているとか、(カバンの中で)イヤホンが絡まっているとか、小さなあるあるは、自分の日常にもあるなと思いました。

佐藤 でもこれって女性だけではないあるあるだと思うんです。

バカリズム そう、男でもあるからね! 例えば雨の日の満員電車で、僕ももうオッサンだけど、オッサンとくっつくのとか嫌だし(笑)。だから男女どちらからの目線でも起こりうることかなと思っています。

夏帆 日常あるあるですよね。

そっか。でもみんなで更衣室でしゃべっている時に、バカリズムさんがペットボトルの上に顎をのせていたり、そんな女子の仕草はなんでわかるんですか!?

夏帆 バカリズムさん、普段でもされてますよね?(笑)

バカリズム そう、普段からするんです(笑)。これってその仕草には理由がないから、普通の作品だとカットされる部分なんです。でも実際の日常生活の中では、説明できないけどやる行為ってあって、それをあえて入れることでリアリティを出すようにはしていました。

あ、なるほど。

バカリズム だから、あれは、完全な狙いです! テクニック!(笑)

その狙いに見事ハマりました(笑)。映画で新しく登場された上司役の小野寺課長もすごい良いキャラでした。

バカリズム 坂井真紀さんは面白かったですね。男性の上司ほどウザくはないんだけど、少し怖い上司というか緊張感を持てる相手という感じが、絶妙でリアルでしたね。

佐藤 私は映画で初めて出てくる地元の友だちふたりの“普通感”も好きでした。ドラマ版をご覧いただいている方は、きっと「箱推し」という感じで全キャラクターを好きになってくださっていると思いますし、それがそのまま映画に出ていると思うので、楽しみにしていただければと思います。

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高校時代はクラスを見ながら
頭の中でモノローグが流れていた

バカリズムさんってすごい観察力ですが、高校時代はどんな感じでクラスメートを見ていたんですか?

バカリズム んーーー…今思い返すと、ですけど、心の中でいろんなことを思いながらクラスメイトと話していたかもしれないですね。“今この人、こういうことしたな”とか。口には出さないけど、映画で心の声のモノローグが入るように。

その観察力をモノマネに使う、とかはなく…?

バカリズム その頃は野球部でしたし、芸人になるつもりもなかったですし。人に話すほどのことでもないから、ただただ、心の中でおとなしく思っていました(笑)。でもそういったことを全部覚えていて、今作品に反映しているのかもしれないですね。

夏帆さんと佐藤さんは、バカリズムさんが“よく見てるな”と思われることはありましたか?

夏帆 特別見られてるなと思ったことはないんですが、見られていたのかもしれないですね(笑)

佐藤 私も見られている感じはなかったんですが、作品の中のエピソードなどから、自分の中で “こういうことあるな”とふわっと思っていたようなことが、“そうだ! こういうことか”と明確になることはありました。

バカリズム もしかしたら僕はみんなが思っていることを言語化するのが得意なのかもしれないですね。誰もが頭の中では思っているんだけど、わざわざ言葉にはしないようなことを言葉で説明することが得意というか。見ているのはみんな見ているし、気になることはみんな同じように気になっているんだけど、そのままスルーしているようなこと。

たしかに! そういうことってたくさんありますよね。

バカリズム だから言語化した時に、みんなも「もやもやしていたことを言語化してくれた」というスッキリ感で笑ってくれるのかなと思います。

架空OL日記

撮影:Yoshinori Saito

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架空OL日記
  • 原作:バカリズム「架空OL日記」(小学館文庫)
  • 監督:住田 崇
  • 脚本:バカリズム
  • 出演:バカリズム、夏帆、臼田あさ美、佐藤玲、山田真歩、他
  • 配給:ポニーキャニオン/読売テレビ

©2020「架空OL日記」製作委員会

2.28(金)全国公開

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